戦争と平和を考える公設資料室設置を目指す山形県内の動き 戦争資料の散逸への危機感も
シリーズ「戦争の語り部たち」です。今回は、戦争と平和を考える公設の資料室設置に向けた山形県内の動きに注目します。
山形県村山市内の民家。そのガレージには「小さな小さな平和祈念館」の文字が…。
下山礼子さん「ストーブなどを置いて収容所の雰囲気を出そうとしてまして防寒具を着て強制労働をさせられて」
館長の下山礼子さん(75)です。シベリア抑留経験者のおじが残した「絵巻物」が見つかったのをきっかけに7年前にこの資料館を開館しました。
現在、下山さんは、ある目的に向けた活動に力を注いでいます。
下山礼子さん「私の最終目的である公設の平和資料室。賛同してくれそうな方にお声がけをしたところ現在7名の方が(公設資料室設置に向け)動いている。公設の資料室をつくればいつでも誰でも好きな時に見に行ける。山形県の歴史を勉強しながら平和教育ができればそれは最もいいことじゃないかなと思う」
この日、下山さんはオンラインの会議に臨んでいました。
下山礼子さん「おはようございます声は聞こえますか?」(Q今、何を?)「第2回の戦争資料の保存と記憶継承の在り方検討委員会に参加します」
この日開かれていたのは戦争の記憶継承のあり方などを話し合うため、県が立ち上げた検討委員会の会議。下山さんはその委員会のメンバーとなっています。
下山礼子さん「後世に戦争というのは悲惨なものでやってはいけないことだということを伝えていかないといけないと思う」
戦争の記憶を継承し、平和の尊さを学ぶための公設施設の設置を目指すー。
その目的のもと、下山さんはほかの県民有志とともに2020年に市民団体を結成し、活動を活発化させています。
平和祈念資料室準備委員会メンバー・岡田恵子さん「個人の思いだけではつないでいけない。これは公的な所でちゃんと集めてもらわないとみんなが困っている。これ(戦争遺品や資料)をどうしたらいいかわからないままに捨ててしまったりそれでは過去のことがしっかり未来に継承されない。県内各地から様々なものをちゃんと集めて管理して意味を知らせていく。そういう組織をつくっていただかないといけない。長崎や広島の子たちみたいに小学校の時から学ぶ場がちゃんとあるのは大事。なぜこう(戦争まで至るまでに)なったのか学べる機会というのはとても大切」
平和祈念資料室準備委員会メンバー下山正士さん「感受性のあるときにそういうもの(平和学習) を入れていかないと大きくなってから出てこなくなる」
去年6月には吉村知事と面会。公設の資料室設置を強く要望しました。
その後、県は、下山さんらをメンバーとした検討員会を立ち上げ、ことし2月、初めての会議を開催。
そして7月31日、2回目の会議をオンラインで開きました。
下山さんの自宅には市民団体でともに活動するほかのメンバーも集まり会議を見守りました。
県の担当者「第2回戦争資料の保存と記憶継承の在り方検討委員会を開催したいと思います」
この日の会議で県側は、戦争資料保存の現状などに関する県民アンケートの結果を公表、そこから浮かび上がった課題や戦争資料の収集・保存に関する考え方などについて議論が行われました。
県の担当者「(戦争資料を)処分する可能性があるという答えをいただいたのも15.5%ありこのままでは資料が散逸しかねないと確認できた」
検討委員会委員「(資料館は)学芸員も含め数人の体制というのは必ず必要になってくる。専門の方を含めて検討してこれを動かしていくのは必要かなと」
下山さんも発言します。
下山礼子さん「いろいろ話を伺っているが何を捉えていいのか私自身すごく迷ってしまう(公設資料館設置で)何を通じて県民に何を訴えたいのかそれをまず決めていただくと何をすればいいのかということが具体的に分かると思う。もうちょっと的を絞って考えれば具体性が見えてくると思う」
県担当者「第2回の会議を終了したいと思います。ありがとうございました」
下山礼子さん「今だとなんだかさっぱり分からなかった」
平和祈念資料室準備委員会メンバー・下山正士さん「(何を収集・保存するのかの範囲が)広い」
平和祈念資料室準備委員会メンバー羽柴正美さん「学芸員っていうのは裏付けたもの使えるものでないと資料の基準というかきょうの(検討委員会の) 論点はいいよね」
下山正士さん「時代背景なり戦後のことだけでなくてそれ(戦争)まで至る経緯的なものから継承していかないとまた(戦争を)繰り返す」
目的達成に向け、課題は山積していますが、下山さんはこんな願いを抱いています。
下山礼子さん「一緒に私たちがつくるのではなく県民みんなで(平和資料室を)育てあげていく、これが山形県民がつくった平和資料室で二度と戦争はしませんと誓いあえたらいいなと思う」
次の検討委員会は10月ごろの予定です。〝戦争の記憶〟をどのような方法で〝記録〟し、継承していくのか。県民を巻き込んだ取り組みなどが話し合われます。

