日本町中華の原点「浅草来々軒」が復活…!創業者の玄孫が明かす「おじいちゃんが食べた感想」
醤油ラーメン発祥の店「浅草来々軒」が復活
7月2日、日本の町中華文化の始祖であり、醤油ラーメン発祥の店と言われる「浅草来々軒」が、80年ぶりに創業の地・浅草にオープンした。浅草来々軒を復活に導いたのは、創業者の玄孫(やしゃご)である高橋雄作さん(38歳)。高橋さんは元テレビ局員で、現在は自身で会社を立ち上げ、テレビやラジオ番組を中心に多様なコンテンツを制作している。
エンタメの世界でキャリアを築いてきた高橋さんが、高祖父の店を継いだ理由。それは、92歳の祖父の言葉がきっかけだった。
「祖父は僕が幼いころから、浅草来々軒の思い出をよく話してくれました。最近は寝たきりで過ごすことも増えた祖父ですが、うわごとのように『浅草で、もう一度来々軒のラーメンが食べたい』と言っていたんです。これは一日でも早く浅草来々軒を復活させて、おじいちゃん孝行をしなければと思いました」
一方、高橋さん自身は、数年前まで浅草来々軒が歴史に名を刻む名店であることを知らなかったという。
「去年まで新横浜ラーメン博物館で期間限定出店をしていたのですが、僕は新横浜ラーメン博物館の方々から浅草来々軒の歴史を教えてもらうまで、ひいひいおじいちゃんの中華料理屋がそんなにすごい店だとは知らなかったんです。祖父が言っていた『多いときは一日3000人以上の客が来た』というエピソードも、いくらなんでも盛りすぎだろうと思っていたので(笑)。
期間限定出店も終了し、いま自分が浅草来々軒を継がなければ歴史が途絶えてしまうと思ったとき、急に使命感が芽生えて『僕がやらなきゃだめだ』と。そこから、浅草で物件を探し始めました」
スタッフにスパイが紛れ込み……
現在のテナントを見つけたのは昨年末のこと。そこは奇しくも、創業者の墓から100mほどの場所にある物件だった。
それから急ピッチで開店準備を進め、あれよあれよという間に新生・浅草来々軒が完成。7ヶ月ほどで、ゼロの状態から立派な店舗を作り上げた。
「もちろん、僕ひとりじゃ絶対に無理でした。弊社社員でラジオディレクターの諏訪さんは、新横浜ラーメン博物館の店舗で1年間修業してくれていたので、彼女と一緒に毎日ラーメンを食べ歩き、試作を重ねました。彼女は現在、うちの店長として頑張ってくれています。
メニュー開発は、新横浜ラーメン博物館も全面協力してくれました。新横浜ラーメン博物館にあった店舗は、かの有名な佐野実さんの店『支那そばや』が監修してくれていまして。そのご縁もあり、佐野実さんの妻の佐野しおりさんからもアドバイスをいただきました。本当にたくさんの方に支えていただき、感謝してもしきれません」
だが、オープン直前にはこんな事件も。
「オープンに向けてスタッフを募集したところ、ラーメン屋で見習いをやっていたというおじさんが応募してきたんです。即戦力になると思い採用し、2週間くらい研修をしていたのですが、なんとオープン当日に辞めてしまって……。おそらく、レシピやノウハウを泥棒されたのかな。でも、うちには先代から脈々と続く歴史と伝統があります。表面だけ真似されたとしても敵わないはず。他の追随を許さないくらい、絶対に繁盛させてやると思いました」
その言葉通り、浅草来々軒はオープン初日から大盛況。伝説の1杯を求め、全国津々浦々からラーメンと町中華を愛する人々が集まった。
「祖父が、オープン日の行列を見て『よかった』と微笑んでいました。ラーメンも『おいしいね、懐かしいね』と言って全部食べてくれて。心なしか、身体のほうもだいぶ元気になったように思います。この店を長く続けて、おじいちゃんにも長生きしてもらいたいですね」
『ランジャタイ』国崎の愛あるイジり
多くの人から愛され、支えられている浅草来々軒。本業の仲間も、高橋さんの挑戦を応援してくれているようだ。
「お笑いコンビ『9番街レトロ』のなかむらしゅん君と、『生ファラオ』のたけしさんは、早速店舗に遊びに来てくれました。ふたりが書いてくれた色紙を店内に飾っているのですが、『たけし』と書かれたサインを見たお客さんから『これは、あの、たけしさんかい?』と聞かれたので『はい。あの、たけしさんです』とだけ答えておきました」
芸人やファンからは「TP」の愛称で親しまれる高橋さん。浅草来々軒のラーメンは「TPラーメン」と呼ばれ、独特な“イジり”をされている。
「新横浜ラーメン博物館に出店していたころから、『ランジャタイ』の国崎さんを中心に『TPラーメンはひどい』というイジりをされるようになりました。食べログで『来々軒』と検索すると、全国に同名の店がたくさんヒットするんですよ。それで、別の来々軒のレビューに『ラーメンが小さい。レンゲのほうが大きい』と書かれていて、それを見た彼らが『TPラーメンはすごく小さいらしい』と言い始めたんです。悔しいので、浅草来々軒のラーメンはむしろ大きく、ボリューミーにしてやりましたよ。安く、お腹いっぱいになれるのは、町中華の役目ですから」
後編記事『80年ぶりに復活した「浅草来々軒」で実食…!「レンゲよりラーメンが小さい」という噂は本当か』へ続く。
