「マズいとは言ってない」ラーメンYouTuber・SUSURUが語る“酷評しない”哲学とは…ラーメン店開業で変わった口コミとの向き合い方

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チャンネル登録者約200万人のラーメンYouTuberSUSURUが、ホリエモンこと堀江貴文氏・浜田寿人氏らが手がける「WAGYUMAFIA(ワギュウマフィア)」にて提供されたラーメンに「マズい」と評したのではないかという騒動が、2026年6月、SNS上で巻き起こった。

【動画】SUSURUが騒動後に投稿、400万回再生を突破したショート動画

 

SUSURU氏が監修・プロデュースしたラーメン店「北ノ醤油チーホー」を今年3月にオープンし、ラーメン界における存在感を一層増しているSUSURU。今回はその騒動の真偽を確かめるとともに、ラーメンYouTuberとしてポップな活動を続ける彼の哲学に迫った。〈前後編の前編〉

SUSURUは「マズい」と言ったのか?

──約1カ月前、SUSURUさんが堀江氏のプロデュースする「WAGYUMAFIA(ワギュウマフィア)」のラーメンを「マズい」と評したかどうかで本人と論争になりましたね。

SUSURU(以下同) まぁ……「マズい」とは言ってないですよね(笑)。スルーしても良かったんですけど、あの切り抜き動画を見て「SUSURUはラーメン屋をディスってるんだ」という悪評が広まるのが嫌だったので、ちゃんと否定しておきたかったんです。ラーメンに対して、僕は「マズい」とは言わないので。

ただ、僕の反応を見て「こいつ真面目だな」とか「面白くない返しだな」とか言われるのも怖くて。やっぱり、ネット上で面白いと思われたいという願望が根底にあるんですよね。なのでとりあえずXのリプライで返信して、その後にすぐショート動画を撮りました。リプライした次の日にはもうアップしましたね。

──YouTuberという職業には炎上してナンボな側面もあると思います。今回の件に限らず、騒動に火がついた瞬間はどのような算段でリアクションを考えるのでしょうか?

相手から明らかに燃やそうとしているニュアンスを感じる時はあんまりノらないんですよね。面白そうな炎上と面白くなさそうな炎上があるんですよ。

ホリエモンの場合はどういう意図なのかわからなかったんです。本気なのか、BreakingDown(ブレイキングダウン)で戦うためのネタを探していたのか……個人的には本当にキレてたとは思うんですけど(笑)。

「ほうれん草は臭みがなくて良かったです」が生まれるまで

──そもそも、なぜラーメンに対して「マズい」と言わないんですか?

「マズい」と表現することがあまり好きではないんです。YouTuberとしてお店に許可を取って撮影させてもらっている手前、手放しに「マズい」と言うのはクリエイターとしてダメなんじゃないかと。むしろ、本来はそのお店の何が自分に合わなかったのかを的確に表現するべきだと思うんですよね。

──その結果としてミームになった言い回しもありますよね。

そう、「食べ手の技術が試される」とか「ほうれん草は臭みがなくて良かったです」とか……初期はそれで良かったんですけど、長く見ている視聴者が気づき始めて(笑)。今では、言葉には表れない僕の反応から考察している方もいますね。

ラーメンYouTuberとして重視する「間口の広さ」

──他の方のラーメン評で感銘を受けたものはありますか?

ラーメン官僚(田中一明)ですね。あの人は「文章偏差値」みたいなものを独自に算出しているんですよ。

例えば「美味しい」みたいに直接的な表現を使うと文章偏差値が落ちるらしいんですよ、ラーメン官僚いわく。つけ麺とかで「麺線が綺麗に整えられている」みたいな表現を使うことも、官僚の尺度に当てはめたら文章偏差値が50以下だと。「麺が風を孕む」とか、そういう表現を推奨しているんです。

──なるほど……。

なので、僕のコメントとかは文章偏差値がそんなに高くないことになるんですよね(笑)。ただ、僕はYouTuberとしてコアなラーメンマニアだけじゃなく、より多くの人に届けたいんです。

というのも、これまでのラーメン評論家の方って、業界やマニア向けに発言している方が多かったんです。僕は動画を始めて4~5年目のタイミングから、そこに向けての発信をやめました。なので専門用語は控えていますし、材料の詳細についてもあまり言及しないようにしています。

──例えば「SUSURUラーメンフェス」の主催なども「多くの人に届けたい」という気持ちから発展したものなのでしょうか?

そうなんです。地方に住んでいて東京や大阪のお店に行けない人でも、フェスで実際にラーメン屋を呼ぶことでコアなお店のラーメンを食べることができるじゃないですか。そうやって間口を広げたいんです。

ラーメンは一口目が8割

──さらに、今年はご自身のラーメン店「北ノ醤油チーホー」をオープンしました。

今年2月くらいまでは自分のラーメン屋なんて全く考えていなかったんです。ただ、その時期に「東京競馬場でラーメンを提供してくれませんか?」という依頼があって、いざ提供してみたら毎日1000杯以上のラーメンが売れたんですよ。

しかも、競馬が雪で中止になった日でも、僕がいないにもかかわらず多くの人が訪れてくれて。その時に僕自身じゃなくてラーメンの味自体を求めている人がいることに気づいたんです。それで手伝っていただいた「俺の生きる道」の店主さんが本格的に店舗を作ることを提案してくれて、急ピッチで準備を進めました。

──「北ノ醤油チーホー」で提供するラーメンの味を追求する動画では、しきりに味の「尖り」を重視していましたよね。

まず、自分の好きな味を作ろうとしたんです。個人的には一口目に感じるパンチが重要で、ラーメンの印象の8割はここで決まると思うんですよね。なのでしょっぱく感じられるギリギリのラインを目指して「尖り」を重視したんです。

ただ、いざ開店してみると、ラーメンを食べ慣れてるマニアの方は「もっとパンチが欲しい」という感想を抱き、普段からラーメンを食べているわけではない方は「しょっぱすぎる」という印象らしくて。結果的に、今の「北ノ醤油チーホー」では一般的なお客さんに合わせてパンチを調整しています。

──まさにYouTuberとして間口を広げるスタンスと一緒ですね。

結局、お客さんがいないと成り立たないんですよね。お店にもフラッと立ち寄れるようにしたくて、予約制にはしていません。「みそきん(注:YouTuberHIKAKINが監修するラーメン店)」や「飯田商店(注:神奈川県湯河原町に位置する全席予約制の超人気ラーメン店)」のように一瞬で予約が埋まる店もありますけど、僕がやるならグルメとしてのラーメンというより昼ごはんとして気軽に楽しめるものにしたかったんです。

結局、来てくれるお客さんが全て

──実際にラーメンを作ることによって、SUSURUさんは評論をする側から評論をされる側になりました。ご自身の中で心境の変化はありましたか?

口コミを気にするようになりましたね。全員に刺さるようなラーメンを作るのは本当に難しいことだなって思います。たまにSNSでお客さんの口コミにキレるラーメン屋の方とかいらっしゃるじゃないですか。その気持ちもわからんでもないというか、ちょっと共感できるんですよね。

ただ、僕は絶対に文句を言いません。これもネットで生き残っていく上での術なんですけど、1ミリでも自分の言い訳を混ぜて発信してしまうと、悪評に対して火に油を注ぐような状況になってしまうんですよね。あらゆる人の謝罪動画を見てきたので、僕にはわかるんです。

──とはいえ、店の味やシステムには適宜改良を加えていますよね?

そうですね。例えば卓上のカップに刺すタイプの箸を引き出し式に変えたり、レンゲを取りづらい位置に置くのではなくて最初からラーメンに添えて提供したり、ちょっとした意見に関しては積極的に取り入れています。そういうところに突っかかって炎上したラーメン屋をいくつも見てきたので(笑)。結局、来てくれるお客さんが全てなんです。

後編に続く

取材・文/風間一慶 撮影/杉山慶伍