昨季 Tリーグファイナルで、早田ひなを破った張本美和

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 7月25日に、2026―2027年シーズンが開幕する卓球プロリーグ「Tリーグ」。一切表に出ていないが、そこで関係者を悩ませているのが「一億円トラブル」である。大口スポンサーから協賛金の支払いが半年以上も滞るという前代未聞の事態が発生し、リーグは頭を抱えているという。

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【写真を見る】協賛金未納を続けた「大スポンサー」とは…未だにHPにはロゴが掲載されている

張本兄妹、松島、早田も所属

 日本卓球界は躍進著しい。5月に行われた世界卓球団体戦では、男女ともに銀メダルを獲得。とりわけ女子は絶対王者・中国に2−3に迫るなど、2年後のロサンゼルスオリンピックに向け期待が高まっている。

 その競技力を支えるひとつがTリーグである。2018年に発足した国内初にして唯一のプロリーグには、日本のトップ選手たちが相次いで参加。先の世界卓球の代表を見ても、男子はダブルエースの張本智和、松島輝空が岡山リベッツの所属であるし、女子の張本美和早田ひなもそれぞれ木下アビエル神奈川、日本生命レッドエルフの主力選手。リーグの充実は代表の強化に直結しているわけである。

昨季 Tリーグファイナルで、早田ひなを破った張本美和

裏では大事に…

 7月25日には9季目のシーズンが始まる。開幕戦を初の海外開催となる台湾で行うなど、盛り上げに必死だが、その裏で、リーグは深刻な「カネ」にまつわる問題を抱えているという。

 Tリーグの最大のスポンサーは、リーグの正式名称が「ノジマTリーグ」であることからもわかる通り、「タイトルパートナー」である家電量販店大手のノジマである。そして、その次の位置付けのスポンサーである「トップパートナー」2社のうちのひとつに入っているのが、「新宝島ホールディングス」なる企業。これが今回、渦中の会社だ。

 Tリーグは同社と2025年の2月にトップパートナー契約を結んだ。契約期間は4年半。金額は非公表だが、

「総額約4億円の契約だと、『新宝島』の社長は周囲に話していました」(事情通)

 契約に伴い、昨シーズン(2025年7月〜2026年3月)、Tリーグの試合では、卓球台の横や選手のユニホームの袖に、新宝島のグループ会社のロゴが大きく掲出されていた。

 昨年5月には、前シーズンの男子の優勝チーム「T.T彩たま」の選手や監督が優勝の報告で同社を訪問。そうした卓球界との関係からか、同社には東京五輪で使用された卓球台が寄贈されるなど、大スポンサーに恥じない待遇を受けている。

 ところが、先の事情通が声を潜めて言う。

「協賛金は分割して支払われる取り決めになっていたようです。一回目の支払いは初年度の1億円で、期限は昨年12月末日だった。しかし、それが期限までに支払われず、リーグ側が年明けから再三督促しても、未納の状態が続いてきた。はっきり言って異常事態と言ってよい。普通なら契約を解除し、違約金を請求するようなレベルでしょう。それでも、1シーズン(2025年7月〜2026年3月)を未払いのままやり過ごした。未払いとなっていた今年1月から3月までは通常に試合が行われていた一方で、裏では大事になっていました」

アイドルオーディションも主催

 問題の新宝島ホールディングスとは、どのような企業なのだろうか。

 HPや関連資料などによれば、同社の所在地は台東区東上野。代表取締役は、中野穣二氏(49)である。傘下に採用コンサルティング業や、旅行代理店・旅行会社など、13のグループ企業を持つ持ち株会社だ。

 中野氏は徳島出身で、中央大学文学部卒。化学メーカーに勤めた後、2011年に独立し、その後は土木・建築事業、食品事業、人材事業、アパレル事業など様々な業態の企業を30社ほど買収。5年前に、それらの一部をグルーピングする目的で、同社を現在の形で発足させた。いまはやりのM&A事業企業である。

 一方で、芸能やスポーツにも進出し、芸能事務所を設立。そこには「HERO」で知られる、歌手の麻倉未稀などが所属している。また、アイドルを発掘する「転生アイドルオーディション」を主催し、その様子は千葉テレビなどで放映されている。さらには、プロレス団体「ZERO1」を傘下の企業が買収し、DMMグループがオーナーで日本人選手も多く所属するベルギーのサッカーチーム「シントトロイデン」のスポンサーの一社にも名を連ねている。

Tリーグ業務を受注

 同社がTリーグと縁を持ったきっかけについて、中野社長の知人が言う。

「間に入る人がいて、スポンサー契約の話が持ち上がった。中野社長は卓球にはまるで興味がありませんが、スポンサーになることで、同社の宣伝に繋がり、また、Tリーグ関係の仕事をグループ会社で請け負うことを目論んだのでしょう」

 実際、スポンサーに就任したことによって、中野社長の関係企業は、Tリーグの業務を受注したという。

「グループ会社のひとつが全試合の撮影業務を担当し、別の会社は応援ツアーや選手やスタッフの遠征の手配を行っていました。麻倉未稀は2年連続して、プレーオフファイナルのハーフタイムに、会場で『HERO』を熱唱しています。昨年の女子開幕戦では、ZERO1のプロレスラーが選手をエスコートして入場したほど。どれも大口スポンサーの特権です」

 それでも肝心の協賛金は支払いをしないままだったというのだから、呆れるしかない。

シントトロイデンともトラブル

 知人が続ける。

「再三督促を受けているにもかかわらず、なぜ頑なに支払おうとしないのかは不明です。ただ、会社にそれだけの金がないという可能性もある。新宝島はM&Aを繰り返して大きくなった会社ですが、買収した中には、経営が思うようにいっていない会社もあります。そうした企業は、グループの他の企業から資金をやりくりしてもらっているケースもあるそうです。加えて、社長の趣味や思い付きで、浮き沈みの激しい芸能や、いわゆるインディーと称されるプロレス事業にカネをつぎ込み過ぎたという面もあるのでは。その典型が、千葉テレビで放送しているアイドルオーディション。アイドルにはお金がかかるというのは有名ですが、一体、そこにどれだけの金額を注入しているのでしょうか」

 そもそも、金銭の支払いに誠実さを欠くという面もある。

「シントトロイデンのスポンサーとしても、協賛金の支払いが遅れ、トラブルになりかけたことがあったくらいです。業界での良い噂はあまり聞いたことがないです」

当事者の回答は…

 疑念はますます深まるばかりだが、未払いに困惑しているのは、Tリーグだけではない。

「協賛金の未払いが続いたため、Tリーグから、同社傘下の企業に昨季仕事をした金銭の一部が支払われていない状態となっています。つまり、無賃労働状態になっている。これだけのトラブルを抱えながら、中野社長は今季の開幕戦に転生アイドルを出演させようとしていましたが……」

 華やかな海外戦の裏で、とんでもない事態が進行していたというわけだ。

 当の新宝島ホールディングスに、開幕10日前の時点で、協賛金の支払いを行ったか確認を行ったが、回答も連絡もなかった。

 一方のTリーグも期限までに回答、連絡なし。

 先の事情通は言う。

「もちろんTリーグは本件を表に出していません。それどころか、未だにHPではトップパートナーの欄に新宝島の関連事業のロゴが掲出され、それがユニホームの袖にも入れられているくらいです。まだ回収できる希望を抱いているということでしょう。しかし、一年目からこんな状態では、仮に今季の分が振り込まれたとしても、残り3年間の支払いがあるかどうかは疑わしい」

 続けて言う。

「未払いのまま、新宝島をトップパートナー企業として堂々と掲出してきたリーグにも問題があると思います。Tリーグには他にも10社ほどの協賛企業がありますが、きちんと支払いをしているそうした企業に対し、申し開きが立たない。Tリーグも発足当初は2期連続、一昨年度も赤字決算となるなど、決して経営状態が盤石と言えるわけではない。被害者ではありますが、一方で、そのような会社を選んでしまった責任が問われることになるのは必至です」

デイリー新潮編集部