山形放送

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木曜特集です。米沢市内の山には、全身が真っ白い毛に覆われたニホンザルが生息しています。その名も「吾妻の白猿」。世界的にも珍しいという白いサルたち。半世紀近くその姿を記録し続けている男性とともに、その姿を追いました。

ことし1月、米沢市。市内に生息するニホンザルの群れには、まれに、雪のように白いサルが姿を現します。

縮文夫さん(88)「木の上に上がってきた」

そのサルの名は、「吾妻の白猿」。米沢市内にのみ生息が確認されている全身が白い毛に覆われたニホンザルです。
その姿を半世紀近く、撮影している男性がいます。

縮文夫さん(88)「冬景色の撮影に行ったとき白猿が2匹並んでいた。あれは絶対に忘れられない。ほれこんでしまった。白猿に」

なぜ、白猿は米沢市で生まれるのか。

山形大学小酒井貴晴教授「必ず群れの中から白いサルが定期的に生まれてくるのは今のところ米沢の群れだけ。なんで米沢だけなのかは分かっていない」
半世紀にわたる男性の記録とともに「吾妻の白猿」の神秘に迫ります。

7月9日。米沢市。ここで50年近く白猿の観察を続けている縮文夫さん(88)です。この日、縮さんの調査に同行しました。
移動手段は車。遠くのサルを見つけるための双眼鏡や、記録用のビデオカメラなどを持ち白猿を探します。
現在、市内で生息が確認されている白猿は、合わせて4匹。縮さんら愛好家で作る団体が、それぞれに名前を付けています。
白猿を探すためにこんなアイテムも。
米沢市がサルに取り付けた発信機の信号を受信する機械。縮さんは市から、白猿の生態調査を依頼されています。
発信機の反応とともにかすかにサルの鳴き声がー。捜索開始からおよそ1時間。サルの群れを発見しました。

縮文夫さん(88)「白猿のいる群れで間違いない」

車を止め、白猿の登場を待ちますが… 。この日、吾妻の白猿を発見することはできませんでした。

縮文夫さん(88)「これだけはしょうがない。動物は…」

2023年12月、YBCのカメラが撮影に成功した吾妻の白猿の姿です。真っ白い毛並みとピンク色の顔が印象的です。
吾妻の白猿は、最も古い記録では今から88年前、山で猟をするマタギによって西吾妻山で捕獲されました。以来、34匹の白猿が確認されています。
縮さんが白猿の撮影を始めたのは40年以上前のことです。

縮文夫さん(88)「写真を始めて雪景色を撮りに行ったら白猿が2匹雪の上を移動していた。その時初めて見た。偶然会ってしまってそれから虜になった」

ここは、縮さんの編集部屋ー。白猿の姿を収めた大量のテープやDVDなどが保管されています。

縮文夫さん「いま記録したDVDは500超えてる」

半世紀にわたる白猿の記録です。

縮文夫さん「これは足で耳をかいてる。1カット1カット思い出のある映像」

なぜ、米沢市で白猿が生まれるのか。山形大学で吾妻の白猿を研究している小酒井貴晴教授です。

小酒井貴晴教授「アルビノはまったく色素を作れないので目が赤い。白猿は目の色は赤くない。僕らの研究結果では白猿はアルビノではなく白変種」

小酒井教授によりますと、白い動物が生まれる現象として、色素を全く作れない「アルビノ」と、色素を部分的に持たない「白変種」の2つのパターンがあるといいます。
小酒井教授は、親猿の遺伝子の組み合わせで白猿が生まれると推測していますが、確定的な根拠は見つかっていません。

小酒井貴晴教授「遺伝子の分析もしてみたがこれが原因で白くなるという確証まではつかめていない」

小酒井教授らはことし、新たな取り組みを始めました。それが、吾妻の白猿のデジタルアーカイブ化です。

山形大学小酒井教授「ニホンザルということを考えても吾妻の白猿は世界で米沢だけ。デジタルで確認したい人がすぐ確認できるような環境づくりをしたい」

これまで縮さんが撮影してきた白猿の記録を個体別に整理。文化の継承のほか、研究での活用につなげることで白猿が生まれる謎の解明にもつなげたい考えです。

小酒井貴晴教授「縮さんが高齢ということもあるがなるべく世代を広げる。AIによる画像解析が飛躍的に進んでいるし精度も上がっている。縮さんの膨大な写真を解析・整理することで血縁関係や群れの仕組みが分かれば面白いことが発見できるんじゃないかと。残しておきたい。残すべきことだと思う」

ことしも米沢市内では多くの赤ちゃんザルが誕生しました。
「つばき」と呼ばれている白猿の胸にも小さなサルの姿が。白猿の出産が確認されるのは実に26年ぶりです。

縮文夫さん「一生懸命食っている。親つばきはかなり気を使っている」

つばきが抱いているのは茶色い毛の赤ちゃんザル。実はこれまで白猿から白猿が生まれた例は一度も確認されていません。

縮文夫さん(88)「なんで米沢にだけ生まれるんだろうか。白猿はどこにでもいるわけではなく今米沢にいることそれは何とも言えない魅力」

いまだ多くの謎に包まれた吾妻の白猿。その姿、記録は、次の世代に受け継がれようとしています。