開始直後、ルーニーがいきなりゴールに迫り、ローマGKのドニがセーブ。これからの試合展開を予感させるスタートだった……というのは結果論であり、戦前はホームチームのマンチェスター・ユナイテッドのほうが、ローマよりも不安を抱えている状況だった。ケガによる多くの主力不在に加え、第1戦での退場によりスコールズが出場停止。さらに、週末の国内リーグでは格下ポーツマスに、DFファーディナンドのオウンゴールで敗れるなど、悪いムードが重なった。

実際、試合開始からしばらくは、ローマのほうが好内容のプレーを披露している。しかし、その流れをガラリと変えたのが、クリスチアーノ・ロナウドの鋭いドリブル、そして11分、彼のパスからキャリックが決めた、技ありのチップシュートだった。ドニの頭上を抜いたこの一撃で、オールド・トラフォードの重苦しい空気は完全に取り払われた。

17分、約16か月ぶりのゴールをスミスがフリーで決めると、その2分後、右サイドを崩してからのルーニーの3点目が決まる。44分にクリスチアーノ・ロナウドがDFを翻弄しながら4点目を決めたところで、もはやこの試合は終わったも同然だった。

後半もマンチェスター・Uは、ローマの集中力が切れたこともあり、敵の脆弱なサイドを簡単に崩し、緩急豊かな攻撃で一方的にペースを握る。

4分、左サイドからのクロスが流れるところを、C・ロナウドがきっちり詰めて5点目、15分にはキャリックが今度は強烈なミドルを突き刺して6点目、そして36分には、ケガから復帰したばかりのエブラも25メートルの距離から決めて、ゴールショーに幕を下ろした。ローマは、25分、デ・ロッシがボレーで一矢を報いるが、それは試合に何ら変化をもたらすものではなかった。

マンチェスター・U、よもやの大勝。その勢いは、奇跡の欧州制覇を遂げた99年以来のものである。