8日に行われたオサスナ戦で本来の実力を見せ、チームの勝利に貢献したレアル・マドリーのMFエメルソン。チームになかなかフィットできず、いまいちのプレーにサンティアゴ・ベルナベウのファンからはボールにタッチする度にブーイングを受け、チーム不調の戦犯にされていた感もある上、フィジカル面での問題を抱えここ2ヶ月間はほとんどプレーできずと失意のシーズンを送ってきたエメルソンだが、グティとガゴの出場停止によりディアラとダブルボランチを組みスタメンに復帰。そのポテンシャルを十分に発揮し、ボランチとしての役目をきっちり果たしたエメルソンは、ベルナベウのファンからの“初めて”拍手を受け、ようやくファンに認められた。

「レアル・マドリーのようなチームにいることができて幸せだし、今夜のように良いプレーができたらなおさらだね。僕のプレーはもっと良くなる。このチームで幸せだとようやく感じられる。チームのために全力を尽くしていきたい」。

 そう興奮気味に語ったエメルソン。その表情からは自分自身でも納得いくプレーができたという自信が見て取れた。

 そして、「とても疲れたよ。ここ2ヶ月間プレーしていなかったからね。でも、チームやファンのためにベストを尽くそうとした。今夜は僕だけが輝いていたわけじゃなくて、チーム全員が難しい試合に勝つために戦ったんだ。今夜、チームは良いプレーをしたよ」と続けたエメルソンはチーム全体が良かったと強調。

 また、カペッロ監督も試合後の会見でエメルソンのプレーを称賛し、彼の復活を喜んでいたが、「監督から良くやったって言われたよ、他のメンバーと同じようにね。これからもしっかりトレーニングを続けていく必要がある。もっと良くなるって思っているからね。この気持ちで続けていくことが大事だ」と語り、今後の試合を見据え、さらなる意欲を見せた。

 首位バルセロナがサラゴサに敗れたため勝ち点差2ポイントに肉薄し、3シーズンぶりの優勝の可能性も見えてきたレアル・マドリーだが、「僕らは自分たちの試合に勝ち、自分たちの成すべきことをしなければならない。それからだよ、どうなるかは。チームとしてもっとまとまり、しっかり仕事をこなすという気持ちが大事。僕らにも優勝の可能性はあるし、これからもチームとしてプレーしていけばタイトルを獲得できると思う」と冷静にコメント。

 バルセロナ(勝ち点56)、セビージャ(55)、レアル・マドリー(54)。優勝争いはさらに混戦模様となった。しかし、この大事な時にエメルソンの復活はレアル・マドリーにとって大きい。心身ともにつらいシーズンを送ってきたエメルソンだが、彼のポテンシャル、そして経験値はタイトル獲得に向けての強みとなるはずだ。リーガ優勝の行方は最終節まで分からなくなってきた。

(スペイン通信)