ユーロ2008予選で苦戦を続けるイングランド代表のスティーブ・マクラーレン監督が、英国メディアやサポーターから、激しいバッシングを受けている。イスラエル、アンドラと続いたアウェイ2連戦を1勝1分で終えたイングランド代表だが、その不甲斐ない戦いぶりに監督交代を求める声も強まっている。しかし、プレミアリーグを代表する2人の名将が、揃ってマクラーレンを擁護。強豪国の代表監督を取り巻く厳しい環境について分析し、そのプレッシャーの大きさを指摘している。

 まずマクラーレン批判に不快感を示したのは、マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督だ。この経験豊富な老将は、英国特有の“皮肉文化”こそが、イングランド代表監督への厳しい批判に繋がると語る。

「英国では、他人を嘲笑することが許される。我々はそういう社会に生きているんだ。受け入れたくはないがね。アンドラ戦でブーイングを続けたファンの姿を見ただろう? どうしてあんな行動に出たのか、私には理解出来ない。5−0で勝利するような試合展開でない限り、イングランド代表のファンは納得しないのだ」

 一方、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、強豪国が格下のチームと対戦する際に陥る試合展開を分析。大勝を求められる強豪国の代表監督が抱えるプレッシャーは、不当なほどに大きくなっていると言う。

「スティーブには同情する。彼が受けている批判はフェアじゃないからね。まず、この時期は、シーズンも佳境なだけに、選手もフレッシュな状態ではない。また、小国が増えたことも、問題のひとつだ。これはサッカー界全体の問題なのだが、小国を相手に戦う強豪国は、常に大差で勝利することが求められる。しかし、0−0で満足する相手に大量得点で勝つのは簡単ではない。自陣で守る相手は、まず開始20分をしのぐことを考えてくる。そして、リードを許さなければ、そのまま戦い方を変えようとしない。そんな相手に、強豪国は開始直後で得点することが求められるんだ。彼らが抱えるプレッシャーは不条理なほど大きい」

 プレミアきっての名将2人が揃って語る代表監督のプレッシャー。ファーガソンが「スティーブを取り巻く環境を楽しめる人間などいないだろう」と語るように、イングランド代表監督が抱える重責は今後も増大し続けるようだ。