約50カ国を旅し、旅エッセイも執筆する作家、有川真由美さん。充実した毎日を過ごす有川さんの暮らしの基本は、「大いに手を抜く、苦手なことは人に任せる」こと。今回は、忙しい日々の中でも無理せず、楽しく生きるヒントをお届けします。

※ この記事は『いそがしいのに豊かな人のずるい習慣88 ーていねいな暮らしはできないけれどー』(扶桑社刊)に掲載された内容を抜粋・再編集しています

【写真】ホームパーティは「みんなで作る」のがマイルール

自宅でヒュッゲを実践、ルールは「おもてなし」をしないこと

“ヒュッゲ”というデンマークの文化をご存知でしょうか。

「親しい人たちと過ごす心地いい空間や時間」を意味し、ものではなく、リラックスできるひとときや人とのふれあいから幸せを見いだす、そんな価値観です。

多くの国を旅してきた有川さんは、この考えに共感し、自宅でも実践してみることに。

「私の場合、自宅に親しい友人を招いて、ただ『おいしいものをみんなで食べて、わいわい楽しもう』というもので、マイルールは“おもてなし”をしないこと」と有川さん。

一般的にホストは掃除や料理など準備に追われ、始まる前から疲れてしまいがちです。けれど事前に「みんなで料理をしよう」と伝えておけば、ゲストが材料を持ち寄ったり、差し入れを持参してくれたりするのだそう。

ヒュッゲを楽しむ3つのモットー

ヒュッゲを楽しむためのモットーは『手間暇かけない』『無理しない』『負担はみんなで少しずつ』の3つだといいます。

「わいわいとキッチンに立つ段階から盛り上がるし、それぞれの得意料理を自然に教え合うこともできる。料理好きの友人もいるので、私が作るよりも格段においしく、手際よく作ってくれます」(有川真由美さん、以下同)

実際にこんなエピソードも。

「ある料理男子に『鍋料理を担当してもらえる?』とオーダーしたら、彼は家で2種類の出汁と4種類の薬味、タレを仕込んで、新鮮なブリのしゃぶしゃぶ鍋と、煮込んだ鶏鍋を鍋ごと持参。舌の肥えた女性たちも『こんな最高の鍋は、お店でも食べられないわ』と大感動でした」

“おもてなし”とは、本来は礼儀や接待ではなく、持て成す(心をもって物事を成す)こと。

「ホストが『どうしたら喜んでもらえるか』を考え、客人に余計な気遣いをさせず、対等に敬意をもって心地よく過ごすことで『和』ができていく…が本質。そう、だれもが笑顔になれるこのスタイルこそが、私なりの『おもてなしの形』なのです」

ホームパーティでも映える、簡単“ほったらかし料理”

有川さんが最近ハマっているのがオーブン料理。

グリルと聞くと手間がかかりそうですが、じつはとてもシンプル。季節の野菜や肉、魚を切って並べて、オーブンに入れるだけ。仕込んだら放っておくだけで、仕事や家事のあいだに完成するので、料理が苦手な人にもオススメです。

「私がよくやっているのは、耐熱皿に旬の野菜を大きく切って並べ、オリーブオイルと塩かけて、230℃で30分にセットするだけのグリル料理。じっくり熱を入れることで、素材のもつ甘みや香りが余すことなく引き出されるのです」

簡単なのにご馳走感たっぷり。ホームパーティではそのまま大皿料理として並べられて、食卓を華やかにしてくれるうえ、洗い物も少なくてすむなどいいことずくめ。

オーブン料理以外にも、つくりおきにもおもてなしにも使える“ほったらかし料理”を、有川さんに教えていただきました。

「ほかにも厚みと密封性のあるステンレスや鋳物ホーローなどの鍋に野菜や肉を入れ、塩やハーブを入れて煮るだけの無水料理、フライパンにもやし、白菜、水菜、小松菜などミルフィール状に敷き、最後に豚肉、鶏肉、ソーセージなどをのせて蒸し焼きし、ポン酢やタレで食べる蒸し料理もあります」

シンプルな味つけが基本だから、具材の組み合わせは自由自在。自分なりのアレンジを見つける楽しみもあります。

有川さんが、料理のモチベーションを高める秘訣は「シンプルでラクちんで、映える」こと。料理が苦手な方も“ほったらかし料理”をレパートリーに加えれば、食生活がさらに豊かになりそうです。

ラクする=手抜きではありません。自分も周りも無理をせず、おいしいものを味わうのがいちばんの理想。有川さんのルールを参考にして、心が豊かになる料理を取り入れてみてはいかがでしょうか。