村上 和 / ハートアンドブレイン株式会社

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チームメンバー同士が手をつなぎ、信頼の絆でつながっている状態をつくることが、リーダーの大切な役割であり、チームの目標を達成するために必要なことです。こうした状態ができあがれば、リーダーが不在の時にも、メンバー一人ひとりが明確な職責と使命感を持って、頼るべきときには仲間を頼り、踏ん張るときには自らの責任感の下に仕事を進めていくチームになります。そのようなチームビルドこそがサーバント・リーダーシップの目的です。

つまり、リーダーの究極の目的は、リーダーがいなくても、問題なく回る組織をつくることです。そのためには何が必要かについて考えてみます。

自分がいなくても回る会社をつくる

会社組織には、大きく2つのスタイルがあります。ひとつは、全社員が経営者を頼りにして、経営者のコントロールの下で動く会社組織。もうひとつは、経営者がいちいち指図しなくても仕事を回していける会社組織です。

経営者がいないと仕事が回らない会社は、属人的経営に陥っており、経営者の個人的力量以上の仕事ができません。このような組織は、往々にして、社員は経営者の顔色を見て動くようになってしまい、組織としての力を発揮することができなくなってしまいます。将として恥ずべきは、自分がいないと回らない会社を作ってしまうことです。

属人的経営の下では、組織内の仕組みも属人的になりがちです。例えば、会社の業績の悪さを一個人の責任にしてしまいます。全体の業績が悪いときでも成果を出す人は出すため、それを理由に、成績の悪い人に責任を押しつけてしまうのです。本来見直すべきは会社全体の仕組みや戦略であるはずなのに、できない人にすべての責任を押しつけ、「お前がチームマインドを冷やしている」「モチベーションが足りない」と名指しでレッテルを貼って済ませてしまう。これでは社員は育ちません。一部の成績の良い社員が会社を去ってしまえば、途端に会社は傾くことになります。

さらに問題なのは、経営者自身が「今日の仕事」に追われ続けてしまうことです。あらゆる判断を経営者が下さねばならず、そうしないと部下は動けません。それでは、「未来への投資」はおろか「カイゼン」のために使う時間すらなくなってしまいます。

チームワークに気を配れ

リーダーシップについて学び、勉強熱心なリーダーでも陥ってしまう罠があります。特に、リーダーシップ論を学んだばかりのリーダーは、とかく「相手と自分との関係性」ばかりに気を取られがちです。一般的なサーバント・リーダーシップ論でも、部下一人ひとりに対してサーバントしていくとされています。しかし、真に目指すべきは、リーダーの不在時でもパフォーマンスが上がるチームです。そのためには、チームワークにつねに気を配って率いていかないといけません。自分がいれば指示できますが、不在時に指示なしでパフォーマンスを上げるためには、皆がMVV(ミッション・バリュー・ビジョン)を共有し、仲間同士が手をつないで、ひとつのベクトルに向いていることが何より大事です。

経営者が不在でも仕事を回していける会社では、すべての社員が会社のミッション・バリュー・ビジョンを理解し、それに沿って主体的に行動することができます。その結果、組織全体の意思決定力が高まり、事業が継続的に発展していきます。ですから、リーダーとして最も誇るべきことは、自分がいなくても回っていく会社をつくることなのです。

仕事断食

社員が主体的に仕事をしている会社は、リーダーがチーム力を上げられるように、部下一人ひとりへの支援、つまりサーバント・リーダーシップが機能しています。リーダーが部下の力を最大限引き出せるように、チームの仕組みを整えているからです。誰が社長をやっているのか一般には知られていなくても、あるいは社長が変わっても、ずっと儲かり続けている会社があります。

では、そんな組織をつくり上げるために、経営者はどうすればよいのか。この問いに対して私がお勧めしているのが、「仕事断食」です。

断食は、単にごはんを食べないということではありません。 食事を断つことで、体内で良い変化が起こることを期待して行うものです。仕事断食も同様に、単に休暇をとることではなく、「今日の仕事」をしないということです。経営者は「今日の仕事」をするのではなく、「未来への投資」の時間に充てます。例えば、目の前の仕事について社内のメンバーに相談したり指図したりするのを控えて、普段は時間がなくてなかなか会えない、素晴らしい人の話を聞きに行く。あるいは、新しいインプットを行い、自分の中で熟成させる。つまり、経営者がひとりで考える時間を意識的に確保するのが「仕事断食」です。

自分が本当にめざすべき組織はどういうものなのか。どうしたらそこへ向かうことができるのか。自分自身に問いかけてみてはいかがでしょうか。