Googleのめっちゃ当たる「天気予報ソフト」
2023年11月16日の記事を編集して再掲載しています。
明日天気になあれ。
GoogleのAI部門であるGoogle DeepMindは、従来のシステムを90%以上上回る最新の天気予報モデルを2023年に発表しました。その名も「GraphCast」という機械学習モデルで、天気予報アプリよりも早く正確に、しかも効率的にこの先10日間のお天気を教えてくれます。
同年、Googleの研究チームは論文を発表。そのなかで「我々はこれが、天気予報の転換点になると確信しています」と記しています。
大量の過去気象データから未来を予測
現在の天気予報は一般的に「数値天気予報(NWP)」と呼ばれ、流体力学や熱力学などの大気科学の原理に基づき、現在の気象条件を巨大なモデルに組み込むことで、今後の変化をシミュレーションします。このプロセスは非常に複雑でコストがかかり、膨大な計算が必要になります。
GraphCastは、分子のとび回り方やぶつかり方をシミュレーションする代わりに、過去のデータに重きを置くという、まったく新しい形の天気予報。言い換えるなら、過去に起きた出来事にもとづいて予測を行なう機械学習モデルということ。言葉にすると「コンピュータ・サイエンス」なんて華やかな感じがしますが、実は必要とされる計算のレベルや数という観点では、実にシンプルなのです。
GraphCastの予測プロセスは、地球の現在の天気と6時間前の天気のデータから始まり、まずは6時間後の天気を予測します。その後、これらの予測をモデルにフィードバックを行ない、同じ計算を実行して、より長期的な予測を出力していきます。
従来のシステムより精度は高いという実験結果
Googleの研究チームはGraphCastの結果を、中期天気予報に使用される「HERS」というモデルと比較してみました。調査によれば、テストで使用された対象の90%において、GrafCastはHRESを「有意に」上回ったとのこと。
GraphCastはまた、熱帯低気圧や異常な気温変化などの異常気象の予測にも能力を発揮。特別なトレーニングを受けたわけでもないのに、驚くほど的中させたのです。
あくまでシステムを「サポート」するもの
論文の著者らは、自身の研究は「気象学者が利用する標準システムと並行して機能するためのもの」だと述べています。
我々のアプローチは、伝統的な天気予報手法の代わりとなるものではありません。むしろ我々の研究は、(機械学習による気象予測が)実世界の予測問題の課題を満たし、現在の最良の方法を補完し、改善する可能性があるという証拠であると解釈されるべきなのです。