アル・パチーノ。 Silver Screen Collection / Getty Images / Rodin Eckenroth / Getty Images

LIFE INSIDER 2024年10月17日掲載の記事より転載

・俳優のアル・パチーノは最新の回顧録の中で、『ゴッドファーザー』は「史上最悪の映画」になるだろうと思っていたと書いている。

・冒頭の結婚式のシーンを撮影した後にそう思ったとパチーノは当時を振り返った。

・映画『ゴッドファーザー』は史上最も象徴的な映画の1つとなった。

『ゴッドファーザー』は史上最も象徴的な映画の1つだが、アル・パチーノは「史上最悪の映画」になるだろうと思っていたという。

1972年に公開されたこの映画で、パチーノは大ブレイクした。ただ、先週出版された回顧録『Sonny Boy』の中で、パチーノはダイアン・キートンとの冒頭のシーンを撮影した後、この映画がうまくいくとは思えなかったと書いている。

「ダイアンと自分は最初の数日間、お互いに笑い合いながら、自分たちがとても嫌っていた冒頭の結婚式のシーンを演じなければならなかった」

「あのワンシーンだけで自分たちは史上最悪の作品に出演していると確信した。その日の撮影が終わると、マンハッタンに帰って酔っぱらうんだ」

「自分たちのキャリアは終わったと思った」

『ゴッドファーザー』より。 Photo by Film PublicityArchive/United Archives via Getty Images

『ゴッドファーザー』はその後、大ヒットした。

興行収入は2億5000万ドルを超え、この年の興行収入第1位の作品となった。また、当時としては、史上最高の興行収入をあげた。その後、2本の続編が製作され(いずれも高い評価を受けた)、クエンティン・タランティーノやマーティン・スコセッシといった映画監督や、『ザ・ソプラノズ』といったテレビドラマや映画に影響を与えた。

回顧録の中でパチーノは、その後、フランシス・フォード・コッポラ監督が『ゴッドファーザー』にどれほど情熱を注いでいるかを目の当たりにし、この作品は「何も心配をする必要がない」と気付いたと書いている。

他にも、『ゴッドファーザー』を製作したパラマウントの重役たちがこの作品の初期の映像を見て、自分とコッポラ監督をクビにするところだったことも明かしている。

「自分はクビになるし、監督もそうなるだろうと聞いた。フランシスがダメだったわけじゃないし… 自分もだ。ただ、自分がこの映画に出ることになったのは彼のせいだ」とパチーノは自分を主人公のマイケル・コルレオーネに起用したのはコッポラだと言及した。

フランシス・フォード・コッポラ監督。 Rocco Spaziani/Archivio Spaziani/Mondadori Portfolio/Getty Images

ただ、コルレオーネの復讐のシーンを撮影した後、スタジオに自分の価値が認められたとパチーノは書いている。

「フランシスが撮影スケジュールを見直したのは、ハリウッドの疑心暗鬼になっている人々にわたしを信じてもらい、作品に残すためだったとずっと思っている」

「彼が意図的にそうしたのかどうかは分からないし、フランシス自身もわたしのためにやったのではないと否定しているけれど、彼はマイケルがソロッツォとマクラスキーに復讐するためにやってくる、イタリアン・レストランのシーンの撮影を前倒しした」

映画『ゴッドファーザー』はパチーノの助演男優賞、コッポラの監督賞を含むアカデミー賞10部門にノミネートされ、コッポラとマリオ・プーゾの脚色賞、作品賞、マーロン・ブランドの主演男優賞の3部門を受賞した。

この映画の成功によって、パチーノとコッポラはハリウッドの伝説となった。

Photo: Silver Screen Collection / Getty Images / Rodin Eckenroth / Getty Images