EU、トランプ氏復帰に備え団結呼びかけ 独仏首脳が対応協議
[パリ 6日 ロイター] - 欧州連合(EU)の主要国である独仏の首脳は6日、米大統領選でトランプ前大統領が勝利宣言を行ったことを受け、対応を協議するため会談し、EUは団結し緊密に連携しなければならないとの見解を示した。
フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相は、トランプ氏の勝利に祝意を表明。同時に「米国第一主義」の下での保護主義的と孤立主義的による課題を強調した。ショルツ氏は記者団に対し「EUは緊密に結束し、一致して行動しなければならない」とし、独仏は他のEU加盟国首脳と緊密に連携していると述べた。
マクロン氏も、仏独は「新たな状況」の中で、一段と強固で統一された欧州のために協力するとXに投稿した。
これに先立ちマクロン大統領はXに「おめでとう、ドナルド・トランプ大統領。あの4年間と同様、協力する用意がある」と投稿。「あなたの信念と私の信念で。敬意と野心を持って。さらなる平和と繁栄のために」と書き込んだ。
フォンデアライエン欧州委員長もXに「ドナルド・J・トランプ氏を心から祝福する。EUと米国は単なる同盟関係ではない。私たちは8億人の市民を束ねる真のパートナーシップで結ばれている」とし、大西洋を横断する課題で市民のために協力していくことを呼びかけた。
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長もトランプ氏に祝意を表明。ハンガリーのオルバン首相も「米国政治史上最大のカムバックだ!大勝利おめでとう。世界にとって必要な勝利だ!」とXに書き込んだ。
欧州の極右政党も直ちに祝意を示した。ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のアリス・ワイデル共同党首は「大量移民への反対票だった。経済の衰退への反対票だった」とXに投稿した。
<欧州の結束実現は困難>
ユーロインテリジェンスのアナリストは「表向きとは裏腹に、欧州は関税引き上げの経済的影響、ウクライナ政策の急転換、防衛費支出の要請などに対し準備ができていない」と指摘。欧州の結束実現には困難が伴うとみられている。
通商問題を巡っては、フォンデアライエン氏がEUと米国の経済関係の活力と安定性に「大西洋の両側で何百万人もの雇用と、数十億ドルの貿易と投資が依存している」と述べ、貿易戦争の回避は米国と欧州双方の利益になると強調した。
ウクライナを巡っては、ハンガリーのオルバン首相が欧州はウクライナ支援を再考する必要があると指摘。トランプ氏の大統領返り咲きを受け、欧州はより大きな安全保障上の責任を負う必要があるとの見方が出る中、ドイツのベーアボック外相は「欧州の安全保障に大規模な投資をしなければならない」と語った。
EUと周辺国でつくる欧州政治共同体(EPC)は7日にブダペストで首脳会議を開く。これに先立ち、独仏の国防相は6日にパリで急遽会合を開き、対応を協議する。