トランプvsハリス どちらが勝つ?ゴミ騒動の影響は?現地から解説「歴史的な大接戦」「アイオワ州でハリス氏が優勢になって大騒ぎ」
投開票日が11月5日に迫ったアメリカ大統領選挙。現地の最新情報をANNワシントン支局・梶川幸司支局長が解説した。
梶川氏によると選挙戦世論調査の結果では、共和党のドナルド・トランプ前大統領と民主党候補のカマラ・ハリス副大統領の「互角の戦い」「歴史的な大接戦」が続いている状況だという。
しかし、ハリス氏が10月に入ってから失速してしまったことを挙げて「最終段でハリス氏が元の勢いを戻すことができるかどうかが焦点」だとした。
そんな中、大きな注目を集めたのは“ゴミ騒動”だ。「先月27日、ニューヨークで開かれたトランプ氏の集会で前座を務めたコメディアン(トニー・ヒンチクリフ氏)が、アメリカの自治領・プエルトリコや中南米の人たちを馬鹿にするような文脈で、『ゴミの島だ』というジョークを飛ばしてプエルトリコ人を怒らせてしまった」。
「激戦州というのは7つあり、ここでアメリカ大統領選挙は決まる。この7つの州に90万人のプエルトリコ系の人が住んでいて、そのうち最も重要だと言われるペンシルベニア州には47万人の方が住んでいる。トランプ氏を支持しようと思っていた人が『やっぱりハリス氏かな』となれば、結果が左右しかねない。たった47万人だが、僅差の戦いであるためとても意義がある」(梶川氏)
この問題を受けてトランプ氏は釈明をしたが、ハリス陣営にとっては「格好の攻撃材料になる」と梶川氏は指摘。「例えば、プエルトリコ系の女優であるジェニファー・ロペスさんとハリス氏がネバダ州で行われた民主党の集会に登場した。『この問題を最後の決め手として使いたい』『プエルトリコ系の人だけでなく、アメリカにいる3600万人のヒスパニックの方を味方につけよう』という思いがあった」とした。
しかし、身内であるはずのバイデン大統領が失言をしてしまう。「“ゴミの島発言”にかこつけて、『私が目にする唯一のゴミはトランプの支持者だ』といったような発言をしてしまった。トランプ氏はすかさず、『ついにバイデンとハリスが本音を出した』『アメリカ国民をゴミと呼ぶような人はとんでもない』などと、バイデン氏の失言を利用してこの問題を打ち消そうとした。ハリス氏はせっかくいいムードだったのに、(バイデン氏が)余計なことをしてしまった」と説明した。
10月の“ハリス氏失速”については「バイデン政権の副大統領を務めたので、この3年半に起きたことの責任を負わなければいけない。特にインフレと不法移民の問題。トランプ氏からネガティブキャンペーンを張られて、なかなか厳しいところがある。元々民主党のお客さんであった黒人とヒスパニック系の方々、特に男性の支持をトランプ氏にかすめ取られてしまっている」という。
ハリス氏に逆転の勝機はないのか。梶川氏は「実は有利な点が一つあり、女性の支持が際立って高い。特に白人の女性の支持が高い。元々白人はトランプ氏に(票が)行くものだが、白人女性の支持においてハリス氏が健闘している。特に郊外に住む女性の支持を得て投票に行ってもらうことができれば、7つの激戦州のうち3つくらいは勝てるかもしれない。ハリス氏に勝機がないということはない」と語った。
では、現時点でどちらに軍配が上がると予想されるのか。「10月にハリス氏が失速したこともありトレンドとしてはトランプ氏かと思っていた。ただ、今日(現地11月2日)になって、激戦週ではなく、共和党が強いアイオワ州の世論調査でハリス氏が上になって、大きな騒ぎになっている。これが白人女性の存在」だという。
しかし「アメリカ社会は分断していて、候補者が誰であっても、共和党と民主党から候補を立てれば50対50のような戦いなる。トランプ氏もハリス氏も圧倒的に強い候補ではない。(両者は)この間、決定的な得点も決定的な失点もなく、オクトーバーサプライズもなかった。どちらも決め手がないまま最後を迎える。当日にならないとわからない。そういう選挙になるのではないか」と推察した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)