【アルゼンチン共和国杯/追い切り診断】打倒クロミナンス一角に「S」の最高評価 「スイスイ登坂」で気配上昇、重賞初Vへ意欲
第62回アルゼンチン共和国杯(3日/GII、東京芝2500m)には、4度の骨折を乗り越えて初タイトルを目指す7歳馬クロミナンス、安定した走りを続けるサヴォーナ、末脚一閃のセレシオンなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「サヴォーナ」を取り上げる。
■サヴォーナ
【中間調整】7月に2勝クラスを3馬身差快勝、神戸新聞杯でアタマ差2着、菊花賞で5着と昨年後半一気に力を付けてきた。今年も日経新春杯でブローザホーンの2着や天皇賞・春での0秒7差6着など常にレベルの高い走りを続けている。前走・オールカマーはあまりにもスローに流れた末の決め手勝負で分が悪かったが、それでも0秒2差4着。主戦の池添騎手騎乗なら、もう少し際どい勝負に持ち込めたかもしれない。
前走後は短期放牧を挟み10月上旬に帰厩。トラブルなく気配を上げており、予定通りアルゼンチン共和国杯へ進むことに。2週前にCW5F66秒9-3F36秒7-1F11秒0と帰厩後最初のコース追いとは思えない優秀な時計をマーク。1週前は交流重賞2連勝、来たるJBCスプリントでも主役視されそうなチカッパとCWで激しい追い比べを展開、ラストは豪快に伸びて4馬身抜け出して先着とした。
【最終追い切り】2週前、1週前と同様にレース当週も主戦・池添騎手が調教に騎乗。負荷は1週前までに十分掛かっており、最終追いは坂路で単走・馬なり調整となった。馬場が渋っていることを感じさせず、前向きな雰囲気でスイスイと登坂。荒れた馬場のせいか手前変換の際、少しだけヨレたがすぐさま体勢を整え、ラストまで馬なりを保ちスパッと切れた。
【見解】近2走は暑さを考慮したか、単走オンリー調整で臨んでいたが、涼しくなってきた叩き3戦目のここで併せ馬を“解禁”。それもGI級で勝ち負けを意識する馬とのハードなスパーリングとあって、重賞初Vへの意欲満々といったところだ。東京では過去2回走っており【0.1.0.1】。着外の1は青葉賞での1秒0差6着だが、年明け4回使われての5戦目。それも1勝クラスで2回連続接戦が続いたあとの中3週なら参考外としていい。前走で改めて関東輸送そのものに問題ないことは証明できている。過去2回ある重賞での2着から、距離適性のスイートスポットはやはり12F前後か。主戦・池添騎手に手戻りするここで重賞初制覇といきたい。
総合評価「S」
著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。