取材に応じ笑顔を見せる藤川監督(撮影・立川洋一郎)

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 「阪神秋季練習」(30日、甲子園球場)

 阪神は30日、甲子園での秋季練習を打ち上げた。11月1日から高知県安芸市でスタートする秋季キャンプのメンバーも発表し、09年以降では最多となる39人の参加が決定。就任後、初の地元凱旋となる藤川球児監督(44)は、紅白戦3試合でファンを楽しませるオーダーを組む方針を明かした。

 10月末と思えない陽気の中、グラウンドで汗を流す選手の姿に目を細めた。22日から約1週間の秋季練習最終日。藤川監督は秋季キャンプへ向けて充実感をにじませた。

 「やることはどんどんシャープになっているというか。コーチに助けられながら自分がグラウンドの中に集中できるように、させてもらえるのがすごく分かる。結局は、周りのおかげですよね」

 キャンプ地・安芸には39人を送り込む。例年なら30人前後のため、今年は異例の大所帯。11月3、9、16日に紅白戦が予定されていることも一つの理由だ。

 野手は捕手3人、内野8人、外野8人。計19人のうち、練習生として参加するアルナエス以外は全選手が実戦に出場できる状態だ。1軍で主力の佐藤輝、中野や、次世代を担う前川、井上、小幡、野口も参加。仙台育英時代に夏の甲子園優勝に貢献し、23年度ドラフト3位で入団した山田ら10代や20代前半の若手も多い。

 オーダーを問われた藤川監督は「今、(藤本)総合コーチに早くチーム編成(メンバー)を分けるものを下さいと言っています。早めに皆さんに伝えられるようにしたいので」とスタメンは自身で決めることを示唆。グラウンドの練習を見つめながら「甲子園のスターとか山田とかいますから。みんないい動きしていますよ」と理想も思い描いた。

 魅力的なスタメンを思案する理由がある。紅白戦は全て週末のため、高知県はもちろん各地の阪神ファンが詰めかけることが予想される。

 また、指揮官自身は野球教室などを通して野球離れを肌で感じてきた。「子どもたちの憧れの選手たちがせっかく(来る)。野球をやってる子はみんな(プロに)憧れているんで。その憧れは昔は当たり前だったかもしれないけど、今は当たり前じゃないから」。人気球団のトップとして、野球人口の裾野拡大に貢献したい思いも口にした。

 選手には日々の練習の姿でも“魅せる”ことを期待する。「若い選手に求めたいのは、ひたむきさと素直であるというところ。佐藤とか中野に関してはチームを背負ってるというところですよね。こっち(関西)に主力は残ってるんで、その選手たちの分も、彼らが次の世代にみせてくれると思うんで」。多くの期待を胸に、新指揮官は故郷へ凱旋する。

 【秋季キャンプ参加メンバー】

 ◆投手(20人)

西純矢、森木大智、椎葉剛、伊藤将司、門別啓人、浜地真澄、及川雅貴、村上頌樹、桐敷拓馬、茨木秀俊、富田蓮、石黒佑弥、岡留英貴、津田淳哉、石井大智、川原陸、佐藤蓮、松原快、ホセ・ベタンセス、アンソニー・マルティネス

 ◆捕手(3人)

栄枝裕貴、藤田健斗、中川勇斗

 ◆内野手(8人)

熊谷敬宥、佐藤輝明、小幡竜平、戸井零士、中野拓夢、山田脩也、高寺望夢、ジーン・アルナエス

 ◆外野手(8人)

井上広大、井坪陽生、島田海吏、前川右京、小野寺暖、豊田寛、野口恭佑、福島圭音