28日の債券市場で、先物中心限月12月限は4営業日ぶりに反落。衆院選の結果を受けた買いは朝方で一巡し、その後は財政拡大への懸念などから売りが優勢になった。

 27日投開票の衆院選は自民・公明両党が大敗し、与党で過半数割れとなった。この結果を受けて政治情勢が不安定化するとの見方から安全資産とされる債券が選好され、債券先物は寄り付き直後に前週末比25銭高の144円31銭をつける場面があった。ただ、石破茂政権が日本維新の会や国民民主党といった拡張的な財政政策を志向する野党との連携を強めれば、国債の増発につながるとの警戒感から徐々に売りが増加。日経平均株価が朝安後に切り返したことや、この日の時間外取引で米長期金利が米景気の底堅さなどを背景に上昇したことも重荷となった。先物は午前10時50分ごろに143円85銭まで下押したあとは下げ渋ったものの、買い手掛かりに乏しいとあって戻りは限定的。この日は日銀が「残存期間3年超5年以下」「同5年超10年以下」「同10年超25年以下」「物価連動債」を対象とした国債買いオペを実施したが、概ね無難と受け止められ相場を押し上げる材料には至らなかった。

 先物12月限の終値は、前週末比19銭安の143円87銭となった。一方、現物債市場で10年債の利回りは、午後3時時点で前週末に比べて0.025%上昇の0.970%で推移している。

出所:MINKABU PRESS