◆ＮＢＡ　グリズリーズ１０８―１２８ロケッツ（２５日、テキサス州ヒューストン＝トヨタセンター）

　ＮＢＡグリズリーズの河村勇輝（２３）が２５日、敵地ヒューストンでのロケッツ戦に途中出場。田臥勇太、渡辺雄太、八村塁に続き日本人４人目のＮＢＡデビューを果たした。米留学経験なく、Ｂリーグ出身では初の快挙で、日本バスケ界に新たな歴史を刻んだ。３分３４秒プレーして、１アシスト。チームは１０８―１２８で敗れた。

　ＮＢＡ選手となった河村には、長年切磋琢磨（せっさたくま）してきた同じポジションの“ライバル”がいる。千葉Ｊの若きポイントガード・小川麻斗（２３）は、福岡第一高時代の同級生で、ともに日本一を４度経験。３年時には、一緒にキャプテンを務め、ウィンターカップ連覇を果たした。

　大学は河村が東海大、小川は日体大に進み、Ｂリーグでも河村は横浜ＢＣ、小川は千葉Ｊでプレー。日本のトップリーグで火花を散らし、戦ってきた。

　河村が、ＮＢＡグリズリーズとのツーウェー契約締結のニュースを目にしてた小川は当日に「おめでとう」と本人にすぐメッセージを送ったという。「シンプルにすごいなっていう気持ちと、今まで努力してきたことが報われたというか、そんな感じがする。高校で一緒に戦ってきた、一緒に優勝してきた仲間だったんですけど、『本当に一緒にプレーしてきたのかな？』と思う（笑い）。ＮＢＡで頑張ってくれると思うので、応援したい」と友の快挙を喜んだ。

　高校時代から河村の努力を目にしてきた。誰よりも早く体育館に来て練習する姿、体育館を走るトレーニングメニューでは、コートのラインをしっかり踏むことや、しっかりブザーが鳴って走るなど、細かいことかもしれないが、河村はどんなに小さなことも決して怠ることはなかった。「（正直なところ）きつかったら、サボると思うんですけど、そこが（なく、河村は）素晴らしかった。ほんとにすごい。そういうところでチームの信頼を得られるのかなと思う。自分も勇輝に負けないように朝早く来るようにしたりしていた」と当時から刺激を受けていたと語る。

　そして長年、一緒にバスケットをしてきた小川だから分かる河村のすごさは、その「いやらしさ」にあるという。「いざ、点差が縮まると、気持ちよく決めてくるとか、そういうところはもう『すごいな』『嫌だな〜』と。言い方悪いですけど、透かしてる感じというか（笑い）、彼は余裕を持ってプレーしている」。勝負所で、確実に決めてくる能力の高さは、味方としては頼もしく、敵としては“嫌な選手”だった。

　小川は２０２２年からプロとしてのキャリアをスタートし、千葉Ｊに入団。昨季は６０試合に出場で、１試合平均４・６得点、１・６アシストを記録。Ｂリーグでのキャリアを重ねる中で、世界最高峰に挑戦する盟友の存在はとてつもなく大きな刺激になっている。「自分もＢリーグを盛り上げていけるように頑張っていきたい。（千葉Ｊは）簡単に試合に出れるようなチームではないので、まずはそこでどれだけプレータイムもらえるか。（富樫）勇樹さんや河村は、めちゃくちゃ大事な場面で決めたりとかすると思うんですけど、やっぱり勝たせれるガードが日本代表に選ばれると思う。まずは、チームを勝たせれるようなプレイヤーになり、Ｂリーグでチャンピオンになる。地道に努力しつつ、頑張っていきたい」と、自らが目指す先を見据えた。