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 「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が、東京都内で開催され、阪神はNTT西日本・伊原陵人(たかと)投手(24)を「外れ1位」で指名した。球団のドラフト最上位投手では最小兵となる1メートル70ながら、最速149キロの切れのある直球が武器の即戦力左腕。高校(智弁学園)の先輩で、今季リーグ制覇を遂げた巨人の主砲・岡本和真内野手(28)との対戦を熱望した。

 愛くるしい笑顔、耳までかかるウエーブ気味のヘアスタイルは虎党女子から人気が出そうだ。ただし、色紙にしたためた座右の銘は「強気」。マウンドに立てば表情は一変し、伊原の心の中は火の玉のように熱い。

 「体は大きくないけど、それは僕の長所。打者に強気に向かっていくのが僕のピッチングスタイル。競合選手の抽選は気にしていなかった。2年前は指名がなかったが、落ち込まず前に進んだ」

 大商大4年時の22年ドラフトは指名漏れ。NTT西日本での2年間で球速は149キロまで上がった。元々自信のある制球力にも、そしてスライダー、フォーク、カットボール、ツーシーム、カーブの5種の変化球にも磨きがかかった。藤川新監督は指名後、「僕は先発で考えています」と明かした。関大・金丸を外した後の1位指名だが、阪神入りに導かれたのは新監督との縁、そして運命。タテジマを着て戦いたい相手も因縁の巨人にいた。

 「高校の先輩の岡本(和)さんと対戦したい。先発でも中継ぎでも、1年目からチームに貢献したい」

 指名直後、智弁学園の先輩で、再び同僚になる村上からLINEが届いた。「“何でお前が1位やねん”って。当時は僕は全然(ダメ)でしたし、(やりとりは)ほぼほぼこんな感じです」。村上が選抜で優勝した直後の16年4月に入学。キャッチボール相手を務め、多くを学んだ。「ずっと追いかけてきた人。村上さんが先発して、その後をリリーフして、という流れになればうれしいですね」と夢を描いた。

 11月1日の日本選手権・Honda戦に備え、この日はJR東海との練習試合に先発。5回を6安打1失点だった。社会人での2年間に使用した緑色のグラブには「負けられません 勝つまでは=写真」の刺しゅう。他11球団のドラ1には負けられない。特に、同一リーグの中日が4球団競合のクジを引き当てた金丸とは因縁も生まれた。

 「目標は新人王です」。どんな質問にもハキハキと答える。堂々とした姿は、松坂世代の並み居るライバルたちと激闘を演じた藤川新監督とも重なった。