パリ五輪・パラリンピックの開催に伴いテレビの販売は好調だった(7月、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店で)

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 電子情報技術産業協会(JEITA)が21日発表したテレビなど映像機器の2024年度上半期(4〜9月)の出荷額は、前年同期比4・2%増の2560億円だった。

 今夏のパリ五輪・パラリンピックを観戦するために大型テレビを買う人が増えたためで、上半期としては5年ぶりのプラスとなった。

開幕7月、10%増

 テレビの出荷台数は3・2%増の206万9000台だった。特に50型以上の大型は6・3%増の89万6000台でテレビ全体の約4割、金額では約6割を占めた。近年はスマートフォンの普及でテレビ離れが進む一方、新たに購入する場合は価格が高くても、大型を選ぶ傾向が強まっている。

 五輪が開幕した7月のテレビ出荷台数は前年同月比10・1%増と大きく伸びた。家電メーカーからは「五輪効果だけでなく、今夏の猛暑の影響で、外出せずに自宅のテレビで動画配信サービスを楽しもうという人が増えたのでは」との見方が出ている。

販促強化へ

 JEITAによると、テレビの出荷台数は19〜21年頃に買い替えが進んだ後は減少傾向となっている。当時は、09〜11年に地上デジタル放送への移行に合わせて購入したテレビの買い替えや、20年以降のコロナ禍の巣ごもり需要が影響した。今回の出荷増は、一時的な現象にとどまる可能性がある。

 上半期のテレビ販売が堅調だった家電量販大手の担当者は「大型スポーツイベントは買い替え需要の先食いとなる。年末商戦に向け、『節電家電』への買い替えを促す自治体の施策などと連動し、販売を強化したい」と語る。

黒物全体は減

 一方、映像機器を含む黒物家電全体の出荷額は0・2%減の5135億円で、3年連続のマイナスだった。認証不正による自動車メーカーの一時生産停止などで、カーナビなどの「カーAVC機器」が3・5%減の2259億円に落ち込んだ。

 映像機器でも、ブルーレイディスクレコーダーなどの録画関連機器の出荷台数は減少した。家電量販大手ビックカメラによると、以前はテレビの購入と同時に買い求める人も多かったが、近年は見逃した番組の配信サービスが普及し、録画をする人が減ったとみられるという。