オーストラリアを訪れたチャールズ国王(ロイター)

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 現在、オーストラリアを訪問中のチャールズ国王が21日、国会議事堂で演説した直後、先住民の女性上院議員が、国王に対して罵声を浴びせる騒動が起きた。21日に英紙エクスプレスが報じた。

 騒動を起こしたのは先住民で無所蔵のリディア・ソープ上院議員で、国王の演説後、約1分間にわたり「あなたたちは私たちの国民に対して大量虐殺を行った。私たちの土地を返してください! 私たちから盗んだものを返してください!」などと叫び、反植民地主義的な言葉で抗議した。

 ソープ氏はさらに「あなた方は我々の土地を破壊した。我々に条約を結ばせてください。我々は条約を望んでいる。この国との条約を望んでいるのです。そしてここはあなたの土地ではない。ここはあなたの土地ではない。あなたは私の王ではない。あなたは私たちの王ではない」と吐き捨てた。

 その間、国王は着席して抗議を聞き、ソープ氏は約1分後、警備員によって強制退場させられた後、上院議会議長から注意を受けたという。同氏は強い反王室的姿勢で知られており、この日の公式歓迎式典でも国王が外で直立不動の姿勢をとり、バンドが国歌を演奏する様子が大型ビデオスクリーンに映し出された瞬間も、ソープ氏は背中を向けていたという。

 オーストラリアは100年以上、英国に植民地として支配された。その間に数千人の先住民が殺害され、コミュニティー全体が強制移住させられた。1901年に実質的に独立したが、完全な共和制には移行せず、現在の国家元首はチャールズ国王となっている。

 国王とカミラ王妃はチ9日間で、オーストラリアとサモアを訪問する予定だ。