後半、シュートを放つ鳥栖・堺屋(撮影・永田浩)

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 ◆明治安田J1第34節 京都2―0鳥栖(19日、サンガスタジアムbyKYOCERA)

 J1に13年間残留し続けてきたサガン鳥栖の初となるJ2降格が決まった。後半13分に途中出場した育成組織出身の堺屋佳介は「本当に自分たちの力のなさを感じた」とかみしめるように言葉を紡いだ。

 堺屋は0―0の場面で、現鳥栖U―18(18歳以下)で来季のトップチーム昇格が決まっている鈴木大馳と同時に投入された。「自分たち2人がチーム状況を変えようと話して挑んだ」。前線から積極的にプレスをかけ、後手気味だった守備に活力を与えた。ユース時代から教わってきた「砂岩魂」。「球際で勝つことだったり、走り負けないことだったり。一人一人が目の前の相手に負けなければ、絶対に試合に負けないと教わってきた」と体現しようとしたが、チーム全体には浸透せず、結果に結びつかなかった。

 堺屋は高校2年生だった2022年12月、高校年代日本一を決める「高円宮杯U―18プレミアリーグファイナル」にスタメン出場。チームは現日本代表の高井幸大を擁した川崎U―18を破り、初優勝した。トップチームに昇格した今年は12試合に出場し、1得点。木谷公亮監督就任後は出場機会を増やしていただけに「若手がどんどんやっていたら、ベテランも危機感を持ってくる。そういったところで自分たちが引っ張れなかった」と責任をしょい込んだ。

 同ファイナルに出場した1学年上の楢原慶輝らユース出身の選手は多い。堺屋は「このことはもう絶対に忘れたくない。こういった経験をして良かったということで終わらせたくない。下の世代も(トップに)上がってくると思うけど、そういった選手たちも引っ張っていかないと」と決意する。債務超過で苦しい経営が続くサガン鳥栖にとって、生え抜きの若手は貴重な財産であり、J1復帰に欠かせない。(末継智章)