希望者が接種できない“緊急事態”…「子宮頸がん」ワクチン接種の駆け込み需要が急増し供給が追い付かず在庫がない状況に
日本で年間約3000人が亡くなる子宮頸(けい)がん。
予防のワクチンを接種する機会を逃した27歳までの女性に対し、無料接種が行われています。
ところが今、希望者が接種できない事態が起き、医療現場に混乱が生じています。
千葉・木更津市にある「よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック」。
女性に接種したのは「HPV9価ワクチン」。
子宮頸がんを9割予防できるワクチンです。
20代後半の女性:
(Q. 接種した理由は?)3歳の息子がいるので、将来を考えた時に病気のリスクが怖いと思った。
20歳の女性は母親の勧めで接種しました。
40代前半の女性:
(子宮頸がんに)若い子もなると聞くので、予防できるところは予防してほしいと思った。
子宮頸がんワクチンは、2013年に定期接種が始まりましたが、わずか2カ月で中止に。
その後、専門家による安全性が確認されたため、当時接種できなかった2024年度に17歳から27歳になる女性が無料で接種できる「キャッチアップ接種」が2025年3月末まで実施されています。
接種キャンペーンも広がり、希望する女性が増加。
よこすか内科小児科・はるこレディースクリニックでは10月の1カ月で、過去最多となる200本以上の接種を行いました。
ところが、ここにきて緊急事態が。
クリニックのバックヤードに置かれたボードには、「10月3日 シルガード100本注文。出荷調整かかる」と書かれていました。
HPV9価ワクチンが注文通りに入荷できないというのです。
10月、製薬会社が医療関係者に宛てた文書にも「安定供給を維持するため、限定出荷をさせていただくこととなりました」と記載がありました。
キャッチアップ接種では決められた期間を空け3回の接種が必要ですが、駆け込み需要が急増し、供給が追いついていないとみられています。
よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック副院長 横須賀治子医師:
希望者が打てないのは予約を調整しなければいけない状況があるので、とても残念な気持ち。
納品データによると10月、これまでに納品されたワクチンは70本と9月の半分以下。
市内の他のクリニックでもほとんど在庫がないといいます。
医療法人社団 明竹会 竹内基クリニック理事長・竹内基医師:
入荷が止まっている。“ちょっと無理です”とお断りしてる。
10月中旬、厚生労働省は11月までに1回目を接種すれば、2025年3月末までの無料期限までに3回の接種を終えられるとの見通しを示しました。
よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック副院長 横須賀治子医師:
ワクチンを頑張って増産しているとも聞いているし、それでもまだ出荷調整が続くのであれば、(来年3月末までの)接種期限の延長を考えてほしいと強く思う。