台湾の重要ポスト「政務顧問」に異例の抜てき　「台湾に恩返ししたい」ラーメン店経営の日本人・野崎孝男さん（50）

2024年10月19日 10時10分

FNNプライムオンライン

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台湾の重要ポスト「政務顧問」に異例の抜てき　「台湾に恩返ししたい」ラーメン店経営の日本人・野崎孝男さん（50）

中国が周辺で大規模軍事演習を実施するなど、台湾情勢に注目が集まっているが、そんな台湾の重要ポストに異例の抜てきをされた日本人がいる。
どんな人物なのか独自取材した。

台湾“建国記念日”の頼清徳総統の演説を見守る日本人

今週月曜日の14日、中国軍が前触れもなく、台湾を取り囲むような形で大規模な軍事演習を行った。

空母からは軍用機が飛び立ち、ロケット軍も参加した。

台湾への威嚇を強める中国。
演習に踏み切ったきっかけの1つとみられるのが10月10日、台湾の“建国記念日”にあたる「双十節」の日に行われた演説だ。

双十節の式典では初となる頼清徳総統の演説を聞くため、会場には多くの市民が訪れていた。
2024年5月に就任した頼清徳総統。
台湾のかじ取りを担うトップだ。

台湾・頼清徳総統：
中華人民共和国は、台湾を代表する権利はない。

その姿を関係者席から見守っていたのは、台湾在住の日本人・野崎孝男さん（50）。
実は野崎さんは、日本の内閣にあたる台湾行政院の「政務顧問」を務めている。

政務顧問とは、頼政権に直接助言や提言をする重要なポスト。
野崎さんは最近も、台湾企業の日本進出にともなうリスクや課題などを説明するなど、主に日本に関わるさまざまな案件でアドバイスをしている。
頼総統から求められれば、直接話をすることもあるという。
このポストに外国人が任命されるのは異例だ。

台湾行政院政務顧問・野崎孝男さん：
頼清徳総統はこんなに自分のことを信頼してくれていたんだと、本当に驚きとともにうれしさがありましたし、もう一方で、責任の重さというのも非常に感じました。

2011年から台湾で日本食店を経営…台湾全土で9店舗を展開

日本人の野崎さんと台湾、いったいどんなつながりがあるのだろうか。

野崎さんとの待ち合わせで向かったのは、ラーメン店だった。

台湾南部の台南市にある「Mr.拉麺（ミスターラーメン）」。
名物は、博多豚骨ラーメンや北海道みそラーメン、特製唐揚げなど、地元で愛されている日本食店だ。

実は野崎さんは、この店のオーナー。
「本物の日本のラーメンを味わってもらいたい」と、2011年から台湾で日本食店の経営に乗り出し、今では台湾全土で9店舗を展開する、地元ではちょっとした有名人だ。

野崎さん：
ありがとうございます。うちのラーメンはいかがですか？

客：
うん、おいしいです。この店には何度も来ています。

野崎さん：
ありがとうございます。

「Mr.拉麺」店長：
野崎社長は真面目で一生懸命な上司であり、何事にも解決策があるという考えを与えてくれます。

2016年2月の台湾南部地震からの頼総統との信頼関係

そんな野崎さんが、なぜ頼総統から要職に任命されることになったのだろうか。

野崎さんと頼総統が信頼関係を築くきっかけとなったのは、2016年2月に発生した台湾南部地震だ。

死者の数は100人を超える大災害の中、救出活動の陣頭指揮を執っていたのは、当時台南市長だった頼氏だった。

その時、日本食店を経営していた野崎さんは、すぐに被災地入りし、温かい食事を無償で提供するなど、被災者や救援活動をするスタッフを支えた。

こうした活動がきっかけで、台南市長だった頼氏と親交を深めたという。

野崎さんは、頻繁に自然災害が起きる台湾で、何度も被災者支援を行ってきた。
その理由は、台湾への「恩返し」だという。

台湾行政院政務顧問・野崎孝男さん：
まず台湾の大学院で勉強した時に、台湾の教育部から奨学金をもらったんです。奨学金の原資って、台湾の方の税金ですよね。教育部の奨学金がなければ、今の私も存在しないわけです。台湾の人に機会をもらった、チャンスをもらった。それを自分がある程度成功した、もしくは資源があるときに必ずこの恩は返すと。「恩返しをしたい」それはもう個人的にずっとある思いの1つですね。

頼氏の信頼を得た野崎さんはその後、頼氏から台南市の外交顧問に任命された。
台湾の地方自治体で、外国人が顧問になるのは初めてのことだった。