“異質な得点圏無双”で大谷翔平の「打順変更論」が浮上 ド軍ロバーツ監督は反発「何も変えない。少し滑稽に思える」

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走者のいない状況で打てていない大谷。彼の置かれた状況は興味深いものになっている。(C)Getty Images

 偉才の打棒が話題となった。

 キッカケとなったのは、現地時間10月16日に行われたメッツとのリーグ優勝決定戦第3戦で、大谷翔平(ドジャース)が放った3ランアーチだ。

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 この試合に「1番・DH」で先発していた大谷は、1死一、二塁と得点圏に走者を置いた局面で迎えた8回の第5打席で、相手右腕タイラー・メギルのカットボールを強振。インコース低めへの変化球をかち上げ、右翼席の上段に放り込んだ。

 今ポストシーズンで7試合ぶりに飛び出した一発自体も話題となった。だが、米球界で何よりもクローズアップされたのは、大谷の“異質”なスタッツだった。というのも、走者がいない打席では打率.000(22打数0安打)とからっきしな一方で、走者がいる局面では打率.778(9打数7安打)、2本塁打、8打点、OPS2.257と文字通り打ちまくっているのだ。

 得点圏に絞れば、打率が.833(6打数5安打)にまで跳ね上がる両極端な成績だ。ゆえに巷では打順を巡る起用法が議論となる。仮に彼を走者が出た状況で打席に送り出せる可能性が高い「2番」か「3番」に据えれば、得点効率が上がるのではないかというわけである。

 もっとも、大谷はレギュラーシーズン中も「1番」に固定されてきた。それだけにこのタイミングで打順を変えるのもリスクは伴う。ドジャースを率いるデーブ・ロバーツ監督は、16日の試合前会見で「何も変える必要はない」と断言。そして、次のように大谷の打撃を巡る狂騒曲のような論争を皮肉った。

「レギュラーシーズン中はショウヘイが得点圏にランナーを置いてもヒットを打てないことを心配する声が多かった。だが、今では彼がランナーのいない場面でどうヒットを打てるかを誰もが考え、彼がヒットを打てるように塁に人を出す方法を見つけようとしている。私には、それが少し滑稽に思えるね」

 この指揮官の意見に米記者たちも同調。『CBS Sports』のマット・スナイダー記者は「今の状況だけで打順変更が行われるならそれは愚かな決断だ。私はロバーツに同意するし、彼の言う『滑稽』と言う表現は正しい」と断言。周囲の喧騒に対して「このポストシーズンの大谷の状況というのは、少なくとも今のところ、単純におもしろく、奇妙なスモールサンプルに過ぎない」と苦言を呈した。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]