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 アニメ「ドラえもん」のドラえもん役などで知られる、声優で俳優の大山のぶ代さんが9月29日に老衰のため、死去したことが分かった。90歳。東京都出身。11日に所属事務所のアクターズ・セブンが発表した。訃報を受け、芸能界から悲しみの声が上がった。

 1960年放送開始のNHKの人形劇「ブーフーウー」以来、60年以上の付き合いがあった黒柳徹子は「大山のぶ代さんが亡くなった!」とSNSで驚きをつづり「大山さんとは、NHK『ブーフーウー』をはじめ、若い時からいろんな声の仕事を一緒にしました。また、『徹子の部屋』には、何度も出演していただいて、毎回楽しいお話をしてくださいました」と回顧。「とても面倒見の良い人で、美味しいお菓子とか珍しい食べ物をスタジオに持ってきてくれたり、私がお芝居をやってる時は、毎回大勢のお友達にチケットを販売してくれて、大山さん団体一行という感じで劇場に観に来てくれました。芝居が終わった後に、みんなで一緒にワイワイ食事をするのが恒例でした」と思い出を振り返った。

 また「大山さんは旦那様の砂川啓介さんを、第一に考えて全面的に旦那様に尽くすタイプで、とても仲の良いご夫婦でした。でも、大山さんが認知症発症すると、何よりも大切にしていた旦那様のことが分からなくなり、砂川さんは私に“僕が癌になっと事も分からないんだよ”と、とても悲しそうでした。その旦那様も亡くなってしまい、大山さんはどうしてるのかなぁ?と思っていました」と私生活にも思いを馳せ「肉親の縁が薄く、ずいぶん詳しく私にそのことも話してくださいました。いつでも、私に優しくしてくださいました」としみじみ。「今頃、天国でみんなで一緒にたくさんのお話をしていることと思います」と思いを込めた。

 大山さんの代表作の一つでもある「ドラえもん」の声の前任者だった野沢雅子は「ペコとは初期からの声優仲間で長いお付き合いだったので、まだ実感が湧きません。スタジオで会えば“マコ〜!”と元気に声をかけてくれた笑顔を昨日のことのように思い出します。寂しいけれど、あちらのみんなと集まってまた一緒にお芝居してね」と天国の大山さんにメッセージを送った。

 そして現在、ドラえもんの声優を務めている水田わさびは「突然のご逝去の報に何をどう伝えればいいかわからないくらい心が動いております。それくらい偉大な役者さんであり、とてつもなく大きなバトンを受け取りました。今も演じる中で、大山さんがマイクの前に立つ背中を思い出します。これからも何度も思い出します。その背中に届くように、のび太君たちとこれからも冒険します。長い間、本当にありがとうございました」とショックの大きさを吐露。しずかちゃん役を務めている、かかずゆみは「イキイキと喋り動き回る『ドラえもん』を見るのが楽しみな幼少期でした。そのお声を聞くと、こどもの頃のワクワクした気持ちを思い出します。長年愛されるキャラクターに育ててくださりありがとうございました。作品を引き継いだ1人として、次の世代にもしっかりと愛される作品作りにこれからも邁進して参ります。ご生前のご功績を偲び、謹んでご冥福をお祈りいたします」と偉大な大先輩の旅立ちをしのんだ。

 お笑い芸人・なだぎ武は、訃報を受け「今の代は今の代で素晴らしい受け継がれ方してます。でも、我々世代にとってのドラえもんはいつまでも歴代3代目のドラえもん、大山のぶ代さんやった…」と吐露し「わかっていても悲しい…」と悲痛な思いを投稿。「個人的に初代サザエさんのカツオや国松さまのお通りだいの石田国松、ハゼドン、ザンボット3の神勝平、ダンガンロンパモノクマなどが大好きやった…我々世代にはなくてはならないそんな存在でした…寂しい、、、これまで数々の作品に命を吹き込んでくれた…沢山のキャラクターをありがとうございました、、御冥福を心からお祈り申し上げます」と感謝を記した。

 ロックバンド「GLAY」のギタリストHISASHIは自身のXでドラえもんが泣いている画像を引用して深い悲しみを表し、大山さんを追悼。アニメ好きとして知られるHISASHIは自身のYouTubeチャンネルにドラえもんの劇中BGMをギターで演奏した様子をアップするなど、過去に作品への愛を示していた。

 大山さんは1933年10月16日生まれ、東京都出身。役者を目指し、俳優座養成所に第7期生として入所。1956年にNHKドラマ「この瞳」でデビューを果たした。57年9月放送の「名犬ラッシー」吹き替えで声優としてデビューし、79年にアニメ「ドラえもん」で主人公のドラえもんの声を担当。05年まで約26年間担当した。17年7月に亡くなった夫で俳優の砂川啓介さんが15年5月にラジオ番組内で、大山さんが12年に認知症と診断され、自身が介護していることを公表していた。