高槻〜堺を直結!? 大阪の新たな南北軸「豊里矢田線」が工事進行中 “陸の孤島”京橋駅も超便利に!? 開通を阻む「最大の難関」とは

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阪神高速とは別に進む道路プロジェクト

 大阪市東部の新たな南北軸となる都市計画道路「豊里矢田線」の事業が進められています。
 
 壮大な計画となっていますが、いったいどのようなルートで、どこまで完成しているのでしょうか。

淀川を渡る城北筋の「菅原城北大橋」(画像:Google Earth)。

 大阪市東側エリアは広大な住宅地や中小工業施設が広がっていますが、エリアを南北につらぬく大通りは少なく、「今里筋」と「内環状線」(国道479号)が中距離ネットワークを一手に担っている状況。ちょっとした郊外へ出るためにも、生活道路を延々と抜けて、このどちらかの通りまで到達しないとどうにもなりません。

【画像】超便利!? これが壮大な「豊里矢田線」ルートと開通状況です(30枚以上)

 そこで、「第3の南北軸」として計画されているのが豊里矢田線です。戦後間もない1946年に都市計画決定されましたが、いまだに繋がっていません。

 北側は「城北筋」、南側は「疎開道路」「長居公園東筋」として大半が4車線道路になっています。特に南側は大和川を「行基大橋」で渡り、新金岡の「中央環状線」まで到達する大動脈になっています。

 いっぽう、その双方が繋がっていないことが中途半端で、中心部のブツ切れ状態は否めなく、急速に市街化した戦後大阪において街路整備が追い付いていないのが現状です。

 とはいえ、少しずつ前進はあるようです。

【城北筋】

 淀川北岸の東淀川区豊里で、4車線の府道「大阪高槻線」から分かれて南下し、「菅原城北大橋」で淀川をわたって、城北公園前を経て、野江4丁目で「都島通」(国道163号)に接続します。

 都島区から淀川をわたって郊外へ脱出する貴重な4車線道路になっています。

【野江〜蒲生】事業化まだ

 都島通から京橋駅まで行きたい場合、西隣の交差点からクネクネとした道路を南下する必要があります。一応2車線ですが、生活道路をソロソロと抜けていくことには変わりません。

 将来は、城北筋の4車線道路が、そのまま京橋駅前の国道1号まで突き抜けていく計画です。しかし2016年策定の「都市計画道路の整備プログラム」において、「当面の10年間において事業着手へ向け取り組む路線」にはリストアップされておらず、優先順位は低い扱いです。当分、動きはなさそうです。

最大の「未開通区間」完成を阻む「最大のハードル」とは

【蒲生・鴫野工区】事業中
 
 国道1号から京橋駅をまたぎ、寝屋川をまたいで、城見通へつなぐ515mの区間が事業中となっています。

地上駅のままの、JR学研都市線京橋駅。地下化事業もある(画像:写真AC)。

 ここが完成すれば、重要なターミナル駅ながら寝屋川でシャットアウトされて「陸の孤島」のようになっていた京橋駅が、南側から道路で直結されることになり、アクセス性が根底から変わることとなります。

 気になる進捗ですが、2024年3月時点で用地取得率は約83%。取得済みの土地は更地になり、フェンスで囲まれたり、自転車置き場として暫定活用されたりしています。

 しかし、用地取得の完了が必須なのはもちろんですが、一方でもう一つの「重大なハードル」が立ちはだかっています。それが「JR学研都市線」の存在です。

 学研都市線は京橋駅とともに地上駅で、周辺には開かずの踏切「新喜多踏切」があります。このためJR東西線とともに京橋駅を地下化する事業があります。

 この新喜多踏切を豊里矢田線が抜けていく予定ですが、4車線化するには「JRの地下化が必須」という状況。しかし肝心の京橋駅地下化事業は、2014年に「事業休止」という憂き目にあっています。

 その後、事業再開に向けて、現在は準備検討が進められているといいますが、いつになったら具体化するのか、道筋は立っていません。

 そのせいで完全に不透明な豊里矢田線ですが、せめて地下化を待たずに「2車線暫定開通」ができないか、検討が始まっています。2023年度には概略設計が行われ、2024年度にはいよいよ設計を固めていく予定となっています。

 あとは必要な用地さえ取得完了すれば、ひとまず「京橋駅〜鶴橋〜長居公園〜堺市内」という直結ネットワークが一応実現することになります。

「全線4車線化」まだまだ先? 南側で進む改良事業

【疎開道路(生野工区)】事業中
 
 森之宮から南へまっすぐ全通している「疎開道路」ですが、玉造から国道25号(林寺)までは2車線道路です。これを4車線化するのが、都市計画道路「豊里矢田線」の最終形です。

大和川を渡る行基大橋(画像:Google Earth)。

 そのうち、南端の国道25号から北へ490mが「生野工区」として、2018年に事業化されたばかりです。なお、ほかの区間は先述の“10年計画”にリストアップすらされていません。

 ここは老朽家屋が密集したエリアの防災対策として「生野区南部地区整備事業」が進められているため、事業化の白羽の矢が立ったわけです。東側からは「生野橋通」の拡幅整備が進行中で、用地取得はほぼ完了に近いですが、なかなか完成できず現在に至ります。

【長居公園東筋(北田辺工区)】事業中

 国道25号から南側も、都市計画幅でしっかり整備されていると見せかけて、実はまだ「暫定2車線」のままです。片側1車線ずつが簡易ガードレールで封鎖され、4車線通行ができない状態にしてあるのです。

 これは電線共同溝の工事など複数の不測の事態によるもので、2020年の暫定開通以来、本開通は遅れに遅れています。「大阪市道路整備中期計画」によると、今年3月末の時点で北田辺工区は「2025年度に完了」とされているため、4車線の交通開放はもう間もなくと言ったところでしょう。

 松虫通から南側は、堺市内まで、4車線で開通済みです。