インタビューに応じた東レ静岡の阿部監督(カメラ・伊藤 明日香)

写真拡大

  バレーボールの新たなトップリーグとして、大同生命SVリーグが11日に開幕する。東レ静岡は12日から敵地で広島THと2連戦を行い、19日にホーム初戦で東京GBを迎え撃つ。今季就任した阿部裕太監督(43)が、このほど「しずおか報知」のインタビューで初年度の目標などを語った。

(取材・構成=伊藤 明日香)

****

 ―6月からチームが始動。監督就任から4か月経過して現在の心境は?

 「最初はバタバタして実感がなかったが、いい感じで強化ができており、やっと試合に勝つか負けるかという段階まできている」

 ―今季のチーム目標は

 「最終的には優勝を狙っている。レギュラーシーズンでも上位に入った方が、(チャンピオンシップの)トーナメントを優位に進められるので1番を目指していきたい。正直、チームの日本人で代表選手はBチームの西本だけ。市場の評価では難しいと思われているが、優勝に近づけるような指揮を執っていきたい」

 ―新リーグへは昨季Vリーグファイナルを制したサントリー、準Vの大阪B(当時パナソニック)が突出した戦力を持つ

 「バレーの理屈を掘り下げて、チームでの理解を深めていく。状況に応じて相手より少し高いところにいれば、強いブロッカーがいなくても勝つ確率が少しずつ上がる。サーブ、スパイクで相手よりも少し上回るバレーをやっていきたい」

 ―パリ五輪代表に選ばれたミドルブロッカー高橋健太郎ら主力が昨季で退団した。戦い方が大きく変わる

 「世間では心配の声が多かったと思う。ただ僕はチームが掲げるスローガン『REBORN』の通り、新しく変わる意味ではチャンスでもあると思っている。外国籍2選手が入ってきた。彼らの未知の力を生かせれば大きく化けられる」

 ―オポジットのソウザはブラジル代表、アウトサイドヒッターのレチネはイタリア代表。新加入2選手の魅力は

 「アラン(ソウザ)は得点能力が高く、サーブ、ブロック、スパイクでコンスタントに得点を決める力を持つ。レチネは身長(185センチ)はあまり高くはないが、スパイク技術の高いところがある。両選手とも8月に合流したばかり。セッターがどう攻撃力を生かすかがポイントになってくる」

 ―セッターには大阪Bから期限付き移籍した新貴裕、新人の小野寺瑛輝もいる

 「新は高さでは少し落ちるが、真ん中でクイックを使えたり、両サイドに安定したものよりスピード感あるバレーボールができる。かなりチームにとってプラスになっている。ただ、うちのチーム全員に言えることだが(実力は)僅差(きんさ)。かなりうれしい悩みもある」

 ―監督が指導の中で気をつけていることは

 「色んな選手がいる。いつ言うか、どのような口調で言うのかを考えている。また昨年まで出場機会が少なかった選手に自主練という形があったが、指名して練習という形はなかった。夏場はそういう形でやってきた。シーズン中もやりたいと考えている」

 ―リーグを通じて育成をどう考えているか

 「ずっと継続して成長するようなチームづくりをしていきたい。個で突出していなくても強さを発揮するという方向に来ている。日本代表がいなくても結果的に優勝するのが理想。チームとして強いチームと戦っていけば、個は自然と上がっていく」

 ◆阿部 裕太(あべ・ゆうた)1981年8月8日、茨城県生まれ。43歳。勝田工から進学した東海大では2001年に日本代表デビュー。卒業後は04年に東レ入団、12年にサントリー移籍。17年にコーチ兼任で東レに復帰し、19年に引退してコーチ専任、24年に監督就任。家族は妻、娘2人。191 センチ、84キロ。

 〇…8日には三嶋大社で必勝祈願を行った。山内哲矢社長(53)、阿部監督、選手ら総勢33人が参列した。正式加入から2年目で新主将に就任した重藤トビアス赳(23)は「優勝は、まず自分たちの力があってからこそ。その上で神さまにはチャレンジでのイン、アウトといった細かいところ。最後の最後の部分で力添えしてくれれば」などと語っていた。

 ◆大同生命SVリーグ 新たに開幕するバレーボールの国内最高峰リーグ。前身のVリーグからトップリーグの「SV」と2部リーグの「V」に分かれる。SVは競技、施設など5項目をクリアしてライセンスを保有する必要があり、24―25年シーズンは男子10、女子14チームが参戦。4月までレギュラーシーズン(RS)を行い、その後、上位チーム(男子6、女子8)が進むチャンピオンシップで初代優勝チームを決める。