「キユーピーマヨ」トレンド入り・オタフクソースはパリ支店開設…日本の調味料が外国人に人気、輸出倍増
日本のマヨネーズやソース、カレーなどの「ソース混合調味料」の人気が海外で高まっている。
国内の食品メーカーの見学施設には連日、多くの外国人客が訪れ、観光スポットになっている所も。輸出額は10年間で倍増しており、日本食ブームを後押ししている。
9日、東京都調布市の食品大手キユーピーの見学施設「マヨテラス」。海外から来た15人がマヨネーズの食べ比べを楽しんでいた。
オーストラリアから来たシャーロット・タウンゼントさん(26)は「ここに来るのが旅の目的の一つだった。日本のマヨはコクがあり、滑らかで最高」と絶賛。米国から訪れたE・J・ボールマンさん(29)は「何にでも日本のマヨをつける。米国のマヨは食べなくなった」と笑う。
マヨテラスは2014年にオープン。コロナ禍前は外国人客はほぼゼロだったが、今年から急増し、9月は全来場者の2割(461人)に上ったという。
同社によると、海外で人気に火が付いたのは数年前。日本のマヨネーズを使った料理が米国のSNSで話題となり、「キユーピーマヨ」がトレンド入りするほどに。広報担当の室塚聡子さんは「全卵を使う海外製と違い、卵黄のみを使っており、卵の味が濃いのが特徴。コクやうまみが好評のようだ」と話す。来年には米国に新工場が完成する予定だ。
JR広島駅内にあるソース大手「オタフクソース」(広島市)のお好み焼き体験スタジオ「OKOSTA(オコスタ)」も、外国人客が絶えない。昨年は来場者全体の3割(4701人)を占め、コロナ禍前の1・8倍に増加。同社広報は「まろやかな甘さとコクの深さが好まれている」と話す。
欧州では、お好み焼き店やたこ焼き店が相次いで出店しているといい、同社は6月に欧州初の拠点となるパリ支店をオープン。さらなる販路拡大を目指す。
ソース混合調味料の輸出は年々伸びている。23年の輸出額は543・5億円に上り、13年(213・8億円)から2・5倍に増加。農林水産省も輸出の重点品目の一つに位置づける。
輸出増の要因について、同省担当者は、海外の日本食レストランが10年間で3倍以上に増えていることに加え、SNSを通じて様々な日本食が紹介されるようになり、「日本食の味の決め手となる調味料にも注目が集まっている」と話す。
品目別で最も多いのがカレーだ。ルーが大半で、全体の2割を占める。
英国では、日本発祥のカツカレーがブームとなっている。豚肉を食べられないイスラム教徒が多いため、トンカツの代わりにチキンカツを使用。「マイルドな辛さとカツのボリューム感が受けている」(全日本カレー工業協同組合)という。
同組合は今夏、ロンドン市内で日本式カレーを提供するレストラン約60店を回るスタンプラリーを開催。3週間で計約1300人が参加し、「とろみがあっておいしい」と好評だったという。同組合の中島康介さんは「インド、タイに次ぐ『第3のカレー』として世界に広めたい」と意気込んでいる。