「捜査かく乱目的か」各地転々と逃走…背後に“指示役”か 公開手配・森田容疑者逮捕

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埼玉県所沢市での強盗事件の実行犯として公開手配されていた、森田梨公哉容疑者(24)が逮捕されました。一連の事件では、SNSを通じて指示役のもとで実行犯のグループが形成され、次々と犯行に及んでいました。関連する強盗事件などは1都3県の7件に上ることが分かりました。

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■各地点々 生活費目的の犯行か

森田容疑者は新潟県柏崎市で身柄を確保されました。特殊詐欺事件の受け子を捜索していた警察官の職務質問がきっかけです。これで所沢での強盗事件の実行役、全員が逮捕されたことになります。

所沢の強盗事件が起きたのは1週間前。2人で暮らしていた80代の夫婦が切り付けられ、現金約8万円などが奪われました。男らは散り散りに逃走したものの、実行役3人は事件当日、身柄を確保されています。ただ1人、逃げ続けていたのが森田容疑者でした。捜査関係者によると、奪った現金を持って逃走していた可能性があるということです。

森田容疑者は事件後、新小平駅に現れると、なぜか所沢の現場方向も通る形で6台ものタクシーを乗り換え、大宮駅へ。新幹線で、その日のうちに仙台市に入ります。仙台に着いた時は公開手配された映像と同じ服装でした。新潟にはいつ、どうやって移動したか捜査中です。

注目すべきは、埼玉県三郷市に立ち寄ったこと。捜査関係者によると、森田容疑者は三郷市で特殊詐欺に関わったとみられ、その報酬を受け取って逃走資金にしていた可能性があるといいます。

警察に追われながらも三郷と新潟で2件の特殊詐欺を働いたのか。そもそも強盗に関わったのも1件だけではなさそうです。

所沢の強盗事件で犯行に使われた車は森田容疑者の親族名義でした。同じ車は東京都国分寺市で強盗事件が起きた時、すぐ側で確認されています。森田容疑者自身の姿も。

捜査関係者は、国分寺の事件について生活費が目的の犯行だったとみています。

森田梨公哉容疑者の供述
「生活がぎりぎりで生活費が欲しくてやった」

所沢に出向いたのは国分寺での報酬をもらうためだったようです。

森田梨公哉容疑者の供述
「報酬を受け取る約束で行ったが、強盗を指示され断れなかった」

■“強盗7事件”同じ指示役か

重要なのは、相次ぐ強盗事件の首謀者を特定すること。警察庁は8日、関東1都3県の幹部らを集めて緊急の捜査会議を開きました。

警察庁 谷滋行刑事局長
「犯罪グループの首魁(しゅかい)の検挙と事案の全容解明。これまでの捜査によって多くの実行犯の検挙に至っているが、逃走中の実行犯のみならず上位の被疑者、特に首魁の解明・検挙、および事案の全容解明が必要」

警察庁は、8月からの強盗事件7件について、その手口などが共通していることから同じ指示役の可能性もあるとしました。さいたま市、国分寺市、所沢市の事件では同じ通信アプリの、同じアカウントから指示が出されていたことが分かっています。

7つの事件のうち、鎌倉の質店では腕時計が奪われ、店員がけがをさせられました。この強盗事件も指示役が捕まっていません。

警察庁 谷滋行刑事局長
「被害者に重傷を負わせる悪質極まりない事件も発生。国民の不安が高まっているなか、警察の真価が問われている」

■足取りから見える“指示役”

1日午前2時過ぎ、所沢市の住宅で強盗事件が発生した後、警察によると、森田容疑者はタクシーで東京・新小平駅からわずか10分ほどの東村山市に移動。その後も埼玉県内を狭山市→三郷市→さいたま市西区→さいたま市中央区→大宮駅へとタクシーを合わせて6回乗り継いで移動しています。そして午後11時台に、大宮駅から新幹線で仙台市に入ったことが分かっています。その後、詳しい時期や手段は明らかになっていませんが、新潟県に入ったということです。

元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「巧みにタクシーを乗り継ぐなど、警察の捜査を熟知した手法。指示役による捜査のかく乱が目的とみられる。的確な指示のもと、逃走をしていた可能性が高い」

3日に公開手配され、7日午後11時過ぎに、新潟県内で強盗事件とは別に特殊詐欺の受け子を捜索していた警察官が職務質問をしたのがきっかけとなり、森田容疑者は柏崎市内で逮捕されました。

森田容疑者は手配されていた数日の間にも詐欺事件にも関わっていた可能性があるということです。

元埼玉県警捜査1課 佐々木成三さん
「公開手配中でかくまってくれる人もおらず、逃走するためにはお金が必要だったことから、指示役に従う以外の選択肢がなく、闇バイトを重ねていた可能性がある」