男子は壷井達也、女子は逆転優勝の吉田陽菜が大会2連覇【近畿選手権・結果】

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9月27日から29日にかけて行われたフィギュアスケート近畿選手権。

シニア男子は壷井達也が合計239.22点で優勝、シニア女子は合計183.52点で吉田陽菜が優勝した。

この近畿選手権で西日本選手権への出場権を獲得したシニア・ジュニアの選手たち、そして全日本ノービス出場を決めた選手たちの結果を振り返っていく。

【シニア男子】壷井達也が連覇

出場した全12名が西日本選手権へ出場を決めたシニア男子。

壷井達也は近畿ブロックで2連覇を果たした。

ショートでは、昨季の『アランフェス』を滑った壷井。

自身が振り付けたという新プログラムから、直前のアジアンオープントロフィー後に昨季のプログラムに戻し挑んだ今大会。

GOE(出来栄え点)2.59の加点がついた冒頭4回転サルコウを完璧に決め、全てのジャンプを着氷させる。

スピンステップ全てでレベル4を獲得し、2位発進となった。

続くフリーは、「ピエロがすべてをさらけ出すまでを描いた」という新プログラムを披露。

冒頭4回転サルコウのコンビネーションジャンプを決めるも、2本目の4回転サルコウで転倒してしまう。

その後崩れることなく演技をまとめ優勝するが、本人は悔しさをにじませ、「4回転ジャンプを2本の構成に落としたので確実に決めたかった」と振り返った。

「夏までは試合に入れられる状態だったが、今回は感覚が悪く、抜く判断をした」と挑戦中の4回転トゥループについては、NHK杯では入れたいと意気込む。

2位には近畿ブロック16回目の出場となった友野一希。

所属も変わり心機一転、“殻を破りたい”という思いから、ショートをシェイ=リーン・ボーンさん、フリーをローリーニコルさんとそれぞれ憧れの振付師に依頼したという。

アフリカンなコレオが印象的なシェイ=リーン・ボーン振付の新プログラムを、持ち味の表現力とスケーティングで滑り切り、2本の4回転ジャンプを華麗に決め首位スタートする。

迎えたフリーでは、ジャンプが上手くはまらず惜しくも優勝を逃してしまったが、「スケーティングに関してはかなり自信が出てきた」と好感触。演技構成点もトップの79.11点を獲得した。

次戦GPフランス大会に向けては、「良いペースで来ているので、特に4回転をしっかり決めて勝ちにいきたい」と語った。

3位に織田信成。今季を現役ラストと公言し挑んだ今大会。

ショートには“日本国民のソウルミュージック”と称し『マツケンサンバII』を選曲した。

冒頭4回転サルコウのコンビネーションジャンプを決めるも2本目のトリプルアクセルで転倒。会場は盛り上がりを見せ、5位で折り返した。

「37歳という年齢でどこまでできるかを突き詰めた」というフリーのプログラムは、現役復帰を果たした昨季から継続の『Angels』。

冒頭4回転トゥループを転倒するも、大ベテランの技が凝縮された演技を披露した。

今後に向けては「4回転はもう一本入れられる」とエンジン全開で、引退前のスコアに近い合計260点を目標に挑む。

4位には三宅星南。「やり残したことがある」とフリーでは『タイタニック』を2季ぶりに再演。

5位の中村俊介は、今季から国内ではシニアに挑戦する。

【シニア男子】
1位 壷井 達也(シスメックス)239.22点
2位 友野 一希(第一住建グループ)227.64点
3位 織田 信成(大阪スケート倶楽部)220.30点
4位 三宅 星南(関空スケート)214.89点
5位 中村 俊介(木下アカデミー)212.57点
6位 片伊勢 武 アミン(関西大学)181.64点
7位 木科 雄登(関西大学)169.24点
8位 三島 悠生(ひょうご西宮FSC)146.46点
9位 小林 隼(同志社大学)145.11点
10位 前川 裕士(大公大FSC)138.24点
11位 彦阪 昇吾(立命館大学)132.12点
12位 川口 清壽(佛教大学)122.86点

【シニア女子】吉田陽菜が連覇

シードの千葉百音に加えて上位13名が西日本選手権へ出場を決めたシニア女子。

3位表彰台に上ったネーベルンホルン杯から連戦となった吉田陽菜が、去年に続き大会制覇。

今春同志社大学に入学し通信制を選ぶ選手も多い中、毎日の通学を選択し、練習と学業の両立に励んでいる。

そんな中挑んだショートでは、ジャンプにミスが出るもスピンステップ全てでレベル4を獲得。「明日につながる演技ができた」と2位でスタート。

フリーでは自身の代名詞3回転アクセルに挑戦し着氷させる。

スピンではすべて最高評価のレベル4を獲得するなど、「自分の人生について考えるような深い曲」だという新プログラム『苦悩する地球人からのS.O.S』を滑り切り逆転V。

今大会を「連戦の中、冷静に最後まで集中できた」と振り返った。

今季目標に掲げる「ショート・フリーで完璧な演技で自己ベスト更新」を目指し、次戦はGPスケートカナダへ出場予定だ。

2年ぶりの近畿選手権となった三原舞依は2位。

ショートは「自身のスケート人生を込めたプログラム」だという『GRIFF』を披露。

今大会の出場にあたり、自身のアイデアで振り付けにもある“涙”をアイメイクで表現し挑んだ。

初戦のアジアンオープントロフィー後に振付のミーシャ・ジーとブラッシュアップを行った成果が発揮され、演技構成点はトップ。3本のジャンプをノーミスし首位で折り返した。

翌日フリーではジャンプでミスが出てしまい総合2位に。それでも持ち味の表現力で演技構成点はトップスコアを獲得した。

自分の踊りたい曲リストにも入っていたというアランフェスの『レッド・ヴァイオリン』は、母と祖母にも滑ってほしいと言われていた思い入れのあるプログラム。今大会は実際に2人が観戦に訪れていたという。

次戦GPフランス大会へ向けては、「約1カ月もっともっとレベルアップしたい」と意気込んだ。

3位の白岩優奈は、自身のインスタグラムにて今季ラストシーズンを表明している。

去年に続き全日本出場を目指す白岩の今季のテーマは“諦めない”。

「何があっても最後まで挑戦したい」とショートとフリーで3回転のコンビネーションジャンプを組み込む構成に挑む。

ショートは超お気に入りだというドレス風の衣装が映える『タイタニック』を披露。冒頭ジャンプで転倒し4位スタートとなるも、フリーではジャンプのミスを最小限に抑え3位表彰台にのぼった。

次戦の西日本選手権へ向けては、「去年に比べて体の状態もよくなってきている。残り約1カ月滑り込んで良いプログラムをお届けしたい」と意気込む。

5位には大学ラストイヤーとなる柴野ちりさ。

約5年間、スケートから離れていながらも、それを感じさせない滑りを披露した。夢の全日本初出場へ向け、最後の挑戦に注目だ。

6位には社会人スケーター2年目の籠谷歩未。毎日5時起きで朝練に取り組み、8時間のデスクワークをこなす、怒濤(どとう)のスケジュールの中、「がむしゃらに練習しすぎず、工夫できている」と充実した日々を送っている。

“その時できる最高の演技を”と目標の全日本出場へ向け一歩前進した。

【シニア女子】
1位 吉田 陽菜(木下アカデミー)183.52点
2位 三原 舞依(シスメックス)173.58点
3位 白岩 優奈(関西大学)161.40点
4位 岩崎 陽菜(甲南女子大学)155.80点
5位 柴野 ちりさ(甲南女子大学)143.52点
6位 籠谷 歩未(神戸クラブ)142.30点
7位 前野 百花(同志社大学)136.52点
8位 木下 咲良(関西大学)129.85点
9位 大関 凜花(同志社大学)125.23点
10位 鈴木 なつ(関西大学)116.97点
11位 林 紗陽子(近畿大学FSC)115.51点
12位 久保 智聖(関西大学)111.83点
13位 東 華乃子(京都アクアリーナSC)110.26点

 

【ジュニア男子】朝賀俊太朗が圧倒V

西日本には出場した14名の全選手に加え、ジュニアGPシリーズ出場のため、予選免除されている垣内珀琉・郄橋星名が進出した。

合計194.11点と2位に20点近く差をつけ優勝を飾った朝賀俊太朗。

ショートではコーチの本田武史さんから借りたという衣装で抜群の表現力を発揮する。

今季ショートで初成功となるトリプルアクセルを華麗に決め、首位発進となった。

続くフリーは昨季から継続の『ブエノスアイレスの冬』。冒頭トリプルアクセルのコンビネーションジャンプを完璧に決め、ショートとフリーともに1位で完全優勝となった。

「冒頭ジャンプが決まりテンションがめちゃめちゃ上がった」と喜びを表現し、次戦西日本ジュニアへ向けては、「これまで以上に練習を積み、全日本ジュニアで結果を出したい」と闘志を燃やす。

【ジュニア男子】
1位 朝賀 俊太朗(関西大学)194.11点
2位 名倉 一裕(大阪スケート倶楽部)177.91点
3位 森本 涼雅(星槎国際大阪)176.22点
4位 向野 慶(神戸ポートアイランドクラブ)157.63点
5位 佐藤 光(松陰兵庫高校スケート部)155.30点
6位 織田 信義(大阪スケート倶楽部)144.42点
7位 石原 弘斗(京都宇治FSC)142.79点
8位 佐野 海音(京都アクアリーナSC)136.62点
9位 生田 琉悟(浪速中・高スケート部)122.06点
10位 松野 嵩(京都アクアリーナSC)113.76点
11位 小川 理人(臨海フィギュアSC)112.54点
12位 水越 遼弥(なみはやクラブ)110.22点
13位 飛永 恭兵(大阪スケート倶楽部)109.77点
14位 加藤 嶺(東大津ISC)99.23点

 

【ジュニア女子】櫛田育良が優勝

西日本には出場したシードの櫛田育良、ジュニアGPシリーズに出場のため予選免除されている河野莉々愛に加えて上位11名が出場。

去年、全日本ジュニア2位の櫛田育良が貫禄V。

ショートでは大人っぽい表現力に定評のある櫛田にピッタリなマンボの曲調を踊りこなし、首位スタートする。

「ショートとフリーで演技をそろえたい」と挑んだ今大会は、ジャンプにミスは出たもののフリーでも“いくらワールド”全開の演技を披露し大会制覇した。

「西日本ではもっと完成度の高い演技をしたい」とシード出場となる全日本ジュニアでの活躍にも期待がかかる。

2位には近畿ブロック初参戦の岡万佑子。

今季から木下アカデミーに移籍し、拠点を北海道から京都へ移した。

「北海道に比べて夏が暑く自転車での移動が大変だった」と環境の変化に大変さを感じつつ、同所属の先輩たちから良い刺激を受けているという。

ショートでは3本のジャンプを全て着氷させ2位に。

フリーでは「ジャンプのミスがすごく悔しい」と悔しさをにじませるも、クレオパトラがテーマのプログラムを、柔軟性で魅せるスピンや長い手足を活かしたスケーティングで滑り切り会場を沸かせた。

次戦西日本では目標の“自己ベスト更新”へ向け新天地で練習に励む。

3位には村上遥奈。

フリーでは安定感のあるスケーティングでシーズンベスト更新の111.10点をマーク。「自信を持って滑ることができた」という新プログラム『MULAN』の見どころは曲調が変わったあとの“幸運のコオロギ”を表現した振り付け。

次戦西日本でもさらにシーズンベスト更新を目指し挑む。

ジュニアデビューの松浪ひかりが激戦の近畿ブロックで4位に。

フリーで3回転ルッツのコンビネーションジャンプを決めるなど、自己ベストを約10点更新する。昨季推薦出場した全日本ジュニア出場へ向け弾みをつけた。

【ジュニア女子】
1位 櫛田 育良(木下アカデミー)173.66点
2位 岡 万佑子(木下アカデミー)166.99点
3位 村上 遥奈(木下アカデミー)165.52点
4位 松浪 ひかり(関空スケート)160.69点
5位 山田 恵(木下アカデミー)157.43点
6位 鈴木 華乃(関空スケート)141.14点
7位 川勝 玲奈(木下アカデミー)139.88点
8位 藤原 ゆりあ(関空スケート)130.48点
9位 嶋田 愛和(関西大学KFSC)128.17点
10位 水口 乃按(神戸クラブ)124.99点
11位 北谷 美結(京都宇治FSC)122.45点
12位 重田 美星(神戸ポートアイランドクラブ)118.82点

 

【ノービスAB、男子・女子】

11〜13歳が参加するノービスAクラスと、9〜11歳が参加するBクラスでは、この近畿選手権を通過すると、10月19日開催の全日本ノービスへ出場できる。

ノービスA男子は上位6名が、ノービスA女子は推薦選手の金沢純禾を除く上位6名が、全日本ノービスへ出場を決めた。

【ノービスA男子】
1位 デイリー スカイラー海聖(神戸クラブ)81.97点
2位 原 大翔(神戸クラブ)76.17点
3位 多々納 怜(京都宇治FSC)62.87点
4位 宮瀬 獅世(京都宇治FSC)59.38点
5位 乾 晟太朗(ひょうご西宮FSC)57.81点
6位 宮嶋 鼓太朗(京都宇治FSC)56.60点

【ノービスA女子】
1位 金沢 純禾(木下アカデミー)107.38点
2位 一貫田 紗生(関空スケート)84.28点
3位 能登 咲空(神戸クラブ)74.32点
4位 澤田 有理(ひょうご西宮FSC)62.83点
5位 久保村 真夕子(京都アクアリーナSC)61.64点
6位 東垣 有紗(京都宇治FSC)60.90点
7位 片山 姫和(京都アクアリーナSC)60.33点

ノービスBでは男子上位5名、女子は推薦の近藤尚生、山田葉月と上位5名が全日本ノービスの出場を決めた。

【ノービスB男子】
1位 寺岡 大粋(京都宇治FSC)56.80点
2位 山脇 蒼太(大阪スケート倶楽部)48.24点
3位 矢部 薫(レインボー滋賀ISC)48.01点
4位 望月 涼介(レインボー滋賀ISC)46.52点
5位 宮本 義之(神戸ポートアイランドクラブ)44.55点

【ノービスB女子】
1位 山田 葉月(京都宇治FSC)60.83点
2位 落合 彩(神戸クラブ    )52.16点
3位 山本 花華(関空スケート)51.82点
4位 谷本 梨緒(京都宇治FSC)51.15点
5位 叶 早苗(大阪スケート倶楽部)48.50点
6位 住田 さくら(京都宇治FSC)47.46点