「誠端さんの下に骨を埋める覚悟で働いてる」「愛情があり、尊敬できる人だった」《宝島さん夫妻殺害事件から5ヵ月》”宝島ロード”従業員が語る、関根被告の「意外な素顔」

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東京・上野の繁華街で飲食チェーンを多店舗展開していた「サンエイ商事」経営者の宝島夫妻が殺害された事件は、夫妻の長女の宝島真奈美被告(31歳)とその内縁の夫の関根誠端被告(32歳)を含む7人が逮捕、起訴されて幕を閉じた。

前編『「宝島さんのところに出店すれば売れそうだなーって」《夫婦殺害事件から5ヵ月》テナント強制退去で苦境に...「宝島ロード」は今どうなっているのか』では事件から5カ月経った「宝島ロード」の衰退ぶりを報じたが、後編では現役の従業員を取材。事件の首謀者とされる全身タトゥー男”関根被告”への気持ちを聞いた。

真奈美被告の逮捕以降、妹が代表取締役に就任

最盛期には宝島さん夫妻が手がける飲食店が17店舗も乱立していたことから「宝島ロード」と呼ばれていた東京・上野の繁華街は、事件から5カ月が経ち大きく様変わりしていた。

本誌記者が現地におもむくと、現在も営業しているのはわずか4店舗だけ。さらに休業中の店舗に関しては、サンエイ商事とは関係ない居酒屋や焼肉屋などがオープンしている。それ以外にも、すでに看板が外されていたり清掃業者や改装業者が出入りしている店舗もあり、宝島ロードの厳しい現状が浮かびあがった。

そんななか取材に応じてくれたのは、長年にわたり宝島夫妻が手がける飲食店で働いている男性だ。この男性は「正直なところ、もう当時のことについてはあまり思い出したくない」と前置きを挟みつつも、会社の現状についてこう語る。

「真奈美さんが逮捕されて、今は妹さんが代表に就任していますが、現場に立つわけではなくて上から指示を送る感じですね。だから今も現場を回しているのは各店舗の店長とかマネージャーで、全員というわけではないけど、誠端さんを慕う『誠端ファミリー』が店を支えている状況です」

事件以降、アルバイトも含めたサンエイ商事の従業員数は140人から40人にまで減少。さらにテナントに入っていたビルのオーナーに追い出された影響もあり、17店舗から4店舗にまで縮小したが、そんな苦戦を強いられるなかでも、なぜこの男性は店を続けるのか。

宝島ロード従業員が語る「関根被告」の素顔

「誠端さんにめちゃくちゃお世話になったからです。もちろん仕事なので売り上げも大事だけど、誠端さんはそれ以上に愛情があるというか、人として尊敬できた。悩みがあったらすぐに気づいてくれるし、『ちょっとメシ行こうや』という感じで愚痴も聞いてくれる。

それくらい人を思ってくれる人なので、自分は会社のためではなく誠端さんのために働いてたし、誠端さんの下で骨を埋めようと思ってます。たしかにやったことは悪いけど、自分はいまだに信じられないし、今でも戻ってきてくんねえかな〜って。将来もし誠端さんがどこかで飲食店をやるなら、そのときは自分も入りたいです」(同上)

そんな「兄貴」のような存在だった関根被告は、殺害された宝島龍太郎さん(当時55歳)と幸子さん(当時56歳)と経営を巡ってたびたび対立していたと報じられている。だが、この男性は「龍太郎さんはさておき、幸子さんは人間性が欠けていた」と当時を振り返る。

「幸子さんは自分の機嫌にすべて左右されるから指示もめちゃくちゃでした。昨日言ってたことと今日言ってることが全然違うし、間違ってたらすぐにキレ散らかす。経営については利益の出てる店と出てない店があったけど、そういうのは幸子さんにとって関係ないんですよ。

だから自分はなにを言われようが当時から気にせず反抗してましたが、それで利益を上げようが、結局は全体の売り上げが悪いと機嫌が悪くなってまた当たりがキツくなる。正直なことを言うと、幸子さんを人間だと思って話してなかったです」

この男性によると、関根被告はそんな社長夫人に対しても、あくまで下手に意見を述べていたという。

「激昂するわけではなく『〇〇の方がいいんじゃないですか?』みたいな感じで説得するように話してました。それとメディアに以前、誠端さんが近隣の店舗と揉めている映像が出回ってましたけど、あれも本人はめちゃ嫌がってたんですよ。

幸子さんに無理やり用心棒として連れて行かれて『うわー、面倒くせえ』と愚痴ってましたし。誠端さんは本当はそんなトラブルを起こすような人じゃなかったし、タトゥーとか入っててガラは悪いけど、自分にとっては良い人だった」

「NIKEのエアジョーダン持ってるよ」と楽しそうに話してた

サンエイ商事のダイニングバーが入居するビル近くの飲食店店主も、関根被告に関しては「メディアには色々と言われてるけど、ウチには優しかった」と話す。

「誠端は見た目こそ怖いけど、仲良く一緒に頑張ろうというスタンスで接してきてくれた。それこそ同じ飲食店だったから、オリーブオイルとか調味料の貸し借りをしたこともあるし、それ以外にもスニーカーの話もしたね。

『NIKEのエアジョーダン持ってるよ』って楽しそうに話してて、僕にとっては友達みたいな関係だった。それが事件以降、パッタリと見かけなくなったから心配で『大丈夫?』とLINEも送ったんだけど、既読のままで返信がなくて。色々あってバタバタしてるんだろうなと思ってたら逮捕されてしまって驚いたよね」

その一方で、関根被告の内縁の妻であると同時に、宝島夫妻の長女でもある真奈美被告については、サンエイ商事の従業員たちからも「無実」を訴える声が圧倒的に多かった。

ダイニングバーの社員も「裁判の結果次第だけど、真奈美さんは(犯行を)やってないと思ってる」と言う。前出の飲食店店主も、「真奈美さんはお店を立て直すために頑張ってたので逮捕されたのは信じられない。何かの間違いであってほしいという気持ちしかない」と肩を落とす。

「これまで真奈美さんは頻繁に店に来る人じゃなかったけど、誠端が逮捕されて、6月初旬にダイニングバーが再開してからはよく見るようになった。それこそ店で毎日のように打ち合わせをしていて、小さなお子さんも2人連れてきてたから大変そうだった。

顔もやつれてたし『疲れてる』と口にしてたんだけど、通りにあった『ホルモン番長』という店に関しては思い入れがあるようで、『両親が生前から大切にしていた店だから続けていきたい』と話していたのを覚えてる。最後に真奈美さんと会ったのは逮捕される2日前で、そのときも『おはよー、お疲れさま!』と声をかけてくれてとくに変わった様子もなかった」

秋の夜長に、真奈美被告は一人なにを考えているのか。事件から間もなく半年が経とうとしている。

「宝島さんのところに出店すれば売れそうだなーって」《夫婦殺害事件から5ヵ月》テナント強制退去で苦境に...「宝島ロード」は今どうなっているのか