今回の豪雨はコメの収穫期を迎えていた農家を直撃しました。苦労の末たどりついたはずの実りの秋に、生産者のやるせない気持ちが募ります。

石川県珠洲市正院町で長年、コメ栽培に励んできた谷内前吉昭さん。再び被災地に降り始めた雨で刈り取り作業ができず、きのうは収穫したばかりの玄米を袋詰めする作業に追われていました。

元日の地震では、田んぼに水を送るパイプラインが破損し、例年より半月遅れで田植えを始めるなど、今年はコメづくりにいつも以上に苦労した谷内前さん。ようやく実りの秋を迎えたところに襲った今回の豪雨で、谷内前さんが作付けする田んぼの一部も水に浸かりました。

コメを検査に持って行ったら、規格外やなと…

谷内前吉昭さん「橋じゃないげんて。地震でここを塞いでいた。ここで(川が)狭くなってたろ?そしたら(水が)こっちへ上がって…これ(土砂崩れ)が無ければあがらなかった。(まさかこうなるとは)思っていない」

地震の影響で崩落した土砂が川幅を狭め、さらにそこに大雨で流されてきた流木が堆積。行き場を失った大量の水が田んぼに流れ込んだといいます。

谷内前吉昭さん「これ残った半分最後に(稲刈り)やろうかなと。(知り合いの農家が)こうなった所を一回りしたんやったかな?一回りか二回りしたらコンバイン壊れてコメを(検査に)持って行ったら、3等(規格外)やなと言われてもうやめたって」

被害は田んぼだけではなく、家の裏山も…

被害は田んぼだけではありません。家の裏山が崩れ、数百万円もする農業用機械と、ことし建てたばかりのビニールハウスが土砂に埋まりました。

谷内前さん「雨で電柱の下になったというか(もう動かない?)農機具屋に見て貰ったらもうダメやろうと…」

「ことしは散々な年。収量も少ないしね。(田植えなど)遅くなった分だけ収量が少なくなったんかな」

2024年は3割ほど米の収量が落ちるのではと話す谷内前さん。地震と豪雨による二重の被害が奥能登の農家を苦しめています。

来年を目指してまた頑張りたいと思う

「二重の災害を受けたものの、輪島の状況などを見聞きすると、自分たちはまだまだ恵まれた環境。来年を目指してまた頑張りたいと思う」と谷内前さんは話してくれました。