初スタメンで長打2本を放ち2打点の活躍を見せた福岡大の山下

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 ◆九州六大学野球秋季リーグ戦第5週第1日 福岡大11―2北九大(28日、桧原運動公園)

 福岡大が13安打10打点の猛攻で快勝し逆転優勝へ望みをつないだ。

 西南大が勝ち、福岡大が敗れれば西南大の優勝が決まるという崖っぷちの状況で、ニューヒーローがチームに勢いをつけた。

 初のベンチ入りを果たした山下颯汰(2年・真颯館)がいきなり7番指名打者でスタメン出場を果たすと、長打2本を放ち2打点の活躍で打線を引っ張った。「最初の打席はむちゃくちゃ緊張して三振したけど、それで吹っ切れた」と1死二、三塁で迎えた3回の2打席目は右越え適時三塁打で2点を追加。1点差に追い上げていた北九大を突き放した。先頭打者の5回は左中間を破る二塁打で出塁し7点目のホームを踏んだ。「練習の時から調子が良かったので、そのまま試合でも打てました」と4打数2安打2打点と上々のデビュー戦を振り返った。

 「追い込まれた試合で新戦力の加入がみんなの発奮材料になればと、思いつきでスタメンに入れた」という堀壮太監督の思惑で、試合の朝スタメンを聞かされたという山下は「びっくりしたけど自分のプレーができるようにと思って試合に臨んだ」と自分の打席に集中して結果を出した。

 春までは控え選手中心のBチームにいた。春のリーグ戦は「選手幹事」を務め、スーツを着てリーグ戦運営の補助をしていた。チームはリーグ戦で秋春連覇を果たし、朝吹拓海(2年・神村学園)が最優秀選手を獲得するなど同学年の選手が活躍するのを見て悔しさが募った。高校時代はクリーンアップを任されていた強打者。春のリーグ戦が終わると秋のベンチ入りを目指し、持ち味の打撃を伸ばすためにティー打撃や素振りなどでひたすらバットを振り込んだ。

 夏のオープン戦でAチームに抜てきされた。「夏からずっと打撃の調子が良かった。リーグ戦で長打2本を打てたのは本人の自信にもなったのでは」と堀監督は今後の成長にも期待する。

 西南大が九州大に敗れたため、福岡大は6勝3敗で並んだ。「今日の勝ちで優勝決定戦に行ける権利を得たということ。とにかくもう勝つしかない」と堀監督。あとは優勝まで全力でラストスパートするだけだ。(前田泰子)