© SQUARE ENIX(撮影=関口佳代 / 高田真希子)

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 人気オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FF14)の音楽を手がける祖堅正慶が率いる、公式バンド・THE PRIMALS(ザ・プライマルズ)による単独公演『THE PRIMALS Live in Japan - Darkest Before Dawn』が、9月21日と22日に横浜アリーナにて開催された。

参考:【写真】光の戦士のノスタルジーを刺激した『THE PRIMALS』単独公演の様子

 今年でバンド結成10周年を迎え、単独公演としては過去最大規模の会場となった横浜アリーナ公演。朱雀として声優の南條愛乃、ジェイソン・チャールズ・ミラー、アマンダ・エイケンも参加した、“光の戦士”(FF14プレイヤー)たちの宴の様子をレポートする。今回のレポートで紹介するのは9月21日の公演だ。

※拡張パッケージ『黄金のレガシー』までのネタバレを含みます。

■アルバートのアナウンスがもたらした高揚感

 開演前から、光の戦士たちにとってのハイライトのひとつがやってきた。アルバート(CV:諏訪部順一)によるアナウンスが響き渡り、ざわめく会場。メインクエストを噛み締めてきたプレイヤーにとってはあまりにも感慨深いボイスであり、1曲目を迎える前から高揚感に包まれることとなった。

 公演の注意事項をアルバートから説明賜るという幸福な体験の後には、早速THE PRIMALSの面々が登場。『黄金のレガシー』オープニングムービーとともに「Open Sky - The Theme from Dawntrail」を披露し、10周年の節目でありつつも、新たな船出としての側面も強く感じさせた。

 そこからはおなじみの「エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~」で会場のボルテージを一気に引き上げ、MCを挟んでからの「此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~」「Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」でレイドコンテンツの激しい戦いの記憶を呼び覚ましていく。

 そのままレイドつながりで『黄金のレガシー』で実装された「至天の座アルカディア」のコーナーへ。「Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」では事前に練習したコール&レスポンスが響き渡り、「Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」ではアマンダがパワフルな歌唱を披露。

 続いて演奏された「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」にはバイオリニストの伊藤友馬が登場。繊細かつ力強いアレンジがアリーナ全体に染み渡ったタイミングで、祖堅がMCで9月上旬に開催された『FF14 The k4sen』に言及。ストリーマーたちの挑戦が記憶に新しい「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」の疾走感に、光の戦士たちは酔いしれることとなった。

 ここから朱雀をイメージした衣装に身を包んだ南條がステージへ。切なさと意思の強さが同居する「千年の暁 ~朱雀征魂戦~」を歌い上げると、そのまま「月下彼岸花 ~蛮神ツクヨミ討滅戦~」も歌唱。コンテンツで見慣れた“月の満ち欠け”ギミックを会場のペンライトで再現することを提案し、伸びやかなボーカルと見事な“白と紫”によって、ツクヨミの悲哀と美しさを再現していた。

■10年の歩みに思いを馳せ、公演はクライマックスへ

 そしてさまざまな意味で重厚な「Shadowbringers」へ。ジェイソンのボーカルに合わせて『漆黒のヴィランズ』のオープニングムービーが流れ、ジョブチェンジの音が頭の中で鳴り響いた光の戦士も多かったのではないか。『漆黒のヴィランズ』は“光の戦士はわれわれプレイヤーそのものである”という認識がさらに深まった拡張パッケージでもあり、THE PRIMALSのパフォーマンスによってその記憶が鮮明に蘇っている。

 そのままハイデリン・ゾディアーク編の完結へと向かう「Close in the Distance」「Flow Together」では、『暁月のフィナーレ』だけでなく、『新生エオルゼア』からの道のりをあらためて振り返ることになり、ノスタルジーとともに10年の歩みに思いを馳せる時間となった。

 光の戦士たちが思い出に浸る時間はここで一区切りとなり、パフォーマンスはクライマックスに向かって加速していく。「混沌の渦動 ~蛮神リヴァイアサン討滅戦~」(これも『The k4sen』の記憶が刺激される)「魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~」「過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~」と蛮神パートが続き、この日のセットリストで最も歴史の長い「タイタン」で会場の盛り上がりは最高潮に。

 そして4人のダンサーが登場した「ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~」でテンポはさらに加速し、すべてが詰め込まれた「Endwalker - Footfalls」でのフィナーレへとつながっていった。

 アンコールは「メタル:ブルートジャスティスモード」によって盛大に幕を開け、祖堅によるトランペットの演奏で会場は一気に湧き上がる。そして「ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~」では定番の時間停止ギミックを美しく成功させ、最後はお祭り感あふれる「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」でフィニッシュ。幸福感に満ちた空間を作り出し、公演は幕を閉じた。

 今回は『黄金のレガシー』発売後でもあり、実際に「Open Sky - The Theme from Dawntrail」と『至天の座アルカディア』の楽曲も演奏されたが、『暁月のフィナーレ』までの10年とTHE PRIMALSの10年を重ね合わせ、共に歩んだ光の戦士たちの“ご褒美”になるようなセットリストにも感じた。代表的なのがナレーションを務めたアルバートによる「魂ごと、持っていけ!」であり、わかっていても感情を揺さぶられるのが光の戦士というものだ。

 10周年という節目を迎え、これまで積み上げてきたものを惜しげもなく披露したTHE PRIMALS。“過去最大規模”を大盛況のうちに終え、ここからどんな道を歩んでいくことになるのか。その傍らには、きっと数多くの光の戦士たちが寄り添い続けるのだろう。

■セットリスト

1. Open Sky - The Theme from Dawntrail2. エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~3. 此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~4. Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~5. Bee My Honey ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~6. Give it All ~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~7. 月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~8. 忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~9. 千年の暁 ~朱雀征魂戦~10. 月下彼岸花 ~蛮神ツクヨミ討滅戦~11. Shadowbringers12. Close in the Distance13. Flow Together14. 混沌の渦動 ~蛮神リヴァイアサン討滅戦~15. 魔神 ~魔神セフィロト討滅戦~16. 過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~17. ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~18. Endwalker - Footfalls- アンコール -19. メタル:ブルートジャスティスモード20. ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~21. ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~

(文=片村光博)