ピアニスト藤田真央セカンドアルバム『72Preludesショパン/スクリャービン/矢代秋雄:24の前奏曲』国内盤が発売
世界最高峰のピアノ演奏を続ける若きピアニスト、藤田真央のセカンドアルバム『72Preludes ショパン/スクリャービン/矢代秋雄:24の前奏曲』国内盤が発売になった。
藤田真央は1998年東京生まれの25歳。東京音楽大学在学中の2017年に、スイスのクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝、同時に「聴衆賞」「現代曲賞」「青年批評家賞」を受賞して、世界中の音楽関係者から注目を浴びた。また、2019年には、チャイコフスキー国際コンクールで第2位を受賞し、その特別な音楽の才能が審査員から熱狂的に支持され、日本でもテレビの報道番組等で大きな話題となった。
その後、クラシックの名門レーベル、ソニークラシカルとの専属ワールドワイド契約を結び、2022年全世界デビューアルバム『モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集』を発表。海外では、ドイツのクラシック音楽界で最も権威のある賞のひとつ、オーパス・クラシック賞2023にてYoung Artist of the Yearに選出され、日本では、クラシックの作品ながらオリコン週間アルバム総合チャートにランクイン、また文化庁芸術祭賞を受賞するなど、輝かしいヒットとなったことは記憶に新しい。その大作に続くレコーディング・プロジェクトとして発表されたのが、3人の作曲家、ショパン、スクリャービン、矢代秋雄がそれぞれ作曲した「24の前奏曲」を完全収録した2枚組、合計72トラックの今作だ。
藤田真央
3つの前奏曲集はどれも、ドからシまでの12音に対して長調と短調に1曲ずつ、計24曲となる前奏曲で構成されており、ショパンの24の前奏曲を軸にして、3作の前奏曲集が互いに理想的な対称性を保っている。アルバムはきわめてコンセプチュアルに練られており、3つの作品を一つのアルバムにまとめることで、多様性のある詩性、火山のようなエネルギー、大気の静けさといった、それぞれに異なりながらも一つに結びついた魅力的な音楽世界を作り出している。
ショパンの24の前奏曲集Op.28(1839年)は、「前奏曲」という言葉の概念を打ち破り、この形式を、しばしば即興的に作られる小さな導入曲から、それ自体が意味をもつ作品性のある曲の形式へと昇華させた。スクリャービンの24の前奏曲集Op.11(1888-96)は、多くの点でショパンの前奏曲集と呼応しているが、より拡張された、表現主義的な世界観を提示している。そして、3作品目もきわめて興味深い。日本の作曲家、矢代秋雄による「24の前奏曲」(1945年)のメジャーレーベルでの世界初録音である。ショパンの前奏曲のモデルをさらに発展させた矢代秋雄は、わずか15歳の時にこの作品を作曲し、音楽的イディオムに富んだ、独創的な世界を創り上げている。