(左から)石破元幹事長、高市経済安全保障相、小泉元環境相

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 自民党総裁選(27日投開票)が最終盤を迎え、三つどもえの争いを続ける石破茂・元幹事長、高市経済安全保障相、小泉進次郎・元環境相の3陣営は、国会議員票の争奪戦を激化させている。

 各議員への面会や電話での支持依頼だけでなく、一定規模の票を動かせる派閥領袖(りょうしゅう)らへの働きかけや、他陣営からの「引きはがし」も活発化している。

 高市陣営で選挙対策本部長を務める中曽根弘文・元外相は25日、衆院議員会館の麻生副総裁の事務所を訪ね、約20分にわたって面会した。会談後、周囲には「総裁選の話はしていない」と語ったが、党内では麻生派に高市氏への支援を依頼したとの見方が広がった。

 麻生派は同派所属の河野デジタル相以外にも6陣営に推薦人を出しており、支持が分かれている。各陣営には「決選投票だけでなく、1回目の投票から麻生派の票を回してもらいたい」との思惑がある。

 小泉氏も24日、東京都内で麻生氏と面会したほか、自民を離党した世耕弘成・元経済産業相の事務所も訪れ、連携の可能性を探った。世耕氏は参院旧安倍派に一定の影響力を残しているとされる。

 石破陣営でも「麻生詣で」を求める声が上がり、高市陣営も世耕氏との接近を図っている。

 3陣営が議員票争奪に注力するのは、党員・党友票の投票が26日で締め切られる中、最後の議員票の積み上げが勝負を分けるとみているためだ。3氏のうち上位2氏による決選投票が確実な情勢となり、決選投票に残れない陣営からの支持者の引きはがしも始まっている。

 高市陣営は24日の選対会議で、報道各社の調査で下位に沈んでいる加藤勝信・元官房長官らの陣営から、支援議員の取り込みを目指すことを確認した。交渉担当者にはベテラン議員を充てた。

 小泉氏支持とされる旧二階派の武田良太・元総務相は25日昼、東京都内のホテルの中国料理店に同派若手議員約10人を集め、「1回戦から何とかしよう」と呼びかけた。旧二階派も7陣営に推薦人を出しており、小泉氏以外の陣営に出入りする参加者の一人は「決選投票に残れない候補を支援するぐらいなら、1回目の投票から小泉氏に固まって存在感を示そうということだろう」と受け止めた。

 石破陣営は、個別議員への電話作戦を徹底している。24日の選対会議では、携帯電話に登録している議員への電話かけを徹底することを確認した。石破氏も約100件の携帯番号が載った電話帳を渡され、電話かけを続けている。

 3陣営の動きに対し、他陣営からは「議員票が推薦人20人より少なくなれば格好がつかない」と危惧する声が漏れる一方、「人事での処遇などを約束させ、なるべく高く売ることが重要だ」との声も出ている。