有料?無料? 外環〜成田空港の大動脈「北千葉道路」は結局どちらなのか 超便利な「信号ゼロ」バイパスの「早期開通」求める声も

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外環〜成田を最短距離でむすぶ

 千葉県の新たな主要東西軸として、外環道と成田空港をむすぶ「北千葉道路」が事業中です。
 
 大部分で事業化済みとなり、工事や設計、用地取得などの作業が進んでいます。
 
 ところで「北千葉道路」は有料道路になるという話もありますが、すでに開通している部分は無料で通行できています。いったい有料なのか無料なのか、どちらなのでしょうか。

外環道から北千葉道路が分かれる北千葉JCT(仮称)の予定地(画像:国土交通省関東地方整備局)

 北千葉道路は、市川市内の外環道から「北千葉JCT(仮)」で東へ分岐し、北総線の南側で並行します。新鎌ヶ谷からは、北総線の線路を挟むように道路が整備されます。

【画像】超便利!? これが「北千葉道路」のルートと工事状況です(26枚)

 道路構造は、「交差点ゼロ」の自動車専用部と、「交差点あり」の一般部(側道部)の2段構えとなります。

 印西市などの千葉ニュータウンエリアで北総線の両側に開通済みなのは掘割部と側道部ですが、側道部は交差道路とは信号交差点で接続するため、信号待ちが発生しています。いっぽう、掘割の中を、北総線両側の空きスペースにさらに「自動車専用部」を通す計画になっていて、白井〜印西では開通済み。こちらは信号待ち無しに成田空港方面へ抜けることができます。

 さて、北総線とは別ルートになるのが、西寄りの外環道〜新鎌ヶ谷の区間です。

 こちらは、外環道から分岐して松戸市内までは「地上の一般部+地下トンネルの専用部」となり、そこから新鎌ヶ谷までは「地上の一般部+高架の専用部」となる計画です。

 有料道路として整備する方針となっているのが、この「外環道〜松戸〜新鎌ヶ谷(国道16号)」の専用道部分です。地上の一般道(側道)は無料となります。

 これは、2017年の「千葉県道路協議会」で、国と千葉県、千葉市、NEXCO東日本、首都高とのあいだで、以下の事項が確認されたものです。

「北千葉道路(市川〜国道16号間)の自動車専用道路については、直轄事業と有料事業の合併施行の計画とすること」

 この「合併施行」とは、道路事業をスピーディに完成へ導きたい場合に、近年よく取られる手法です。たとえば奈良市内をつらぬく京奈和道「大和北道路」工区や福岡の「八木山バイパス」4車線化事業は、国とNEXCO西日本の合併施行となっています。

 有料道路事業は、建設費などを開通後に通行料でまかなうものですが、開通までは持ち出しが多く、事業会社にとってハードルが高くなっています。それを国が後押しするのが合併施行です。一般的には道路施設までを国が公共事業でおこない、事業会社が引き取って、有料道路施設を追加し開通とその後の管理運営を担当することとなります。

 北千葉道路のうち、外環道〜新鎌ヶ谷をピンポイントで有料道路とするのは、ここが先述のとおり地下トンネルや高架部など、大規模工事が予定されるからです。

 東側はすでに側道いっぱいまで用地が確保され、あとは北総線の真横に道路施設を通すだけ。それに比べると、用地取得も含め、完成まで長期間が予想されます。

 しかし肝心のこの区間が完成されなければ、外環道につながっていない「ブツ切れ道路」として、北千葉道路はポテンシャルを活かすことができません。そこで千葉県や国は、合併施行方式を取ってまでスピーディに進めようとしているのです。

 さて、気になる進捗ですが、外環道〜新鎌ヶ谷の「未開通部」は、都市計画決定と環境アセスメントは完了しています。しかし事業化済みなのは、総延長約9kmのうち、3.5kmの「市川・松戸工区」のみとなっています。

 専用部に至っては、外環道から分岐する1.9kmのみ事業化されていて、新鎌ヶ谷から先の北総線並行部でもまだ未事業化のままです。

 千葉県は2024年6月の国あて要望でも「有料道路事業を早期に導入し、整備を加速させること」を求めています。有料道路として整備する方針に変わりがないのであれば、はやくその「有料道路事業」を立ち上げ、整備主体と償還計画などを取りまとめるべきでは、というわけです。

 2021年の市川〜松戸の事業化以来、3年連続で事業化「お預け」となった松戸〜国道16号区間。果たして2025年度には実現を果たすのでしょうか、また有料道路事業は本格化するのでしょうか。今後の動向に注目です。