電気代の高騰で打撃を受けているオール電化住宅。そこで、発電した電気を夜間も使える蓄電池に注目が集まっています。太陽光パネル搭載のオール電化住宅を建てたライターが、蓄電池をあとづけして、大幅に改善した光熱費についてレポート。前年の同じ月に5000円以上支払っていた電気代が、なんと94円に。設置後も、売電額は想定以上という結果にも満足しています。

当初は黒字だった光熱費。電気代の高騰で赤字に

筆者は、妻と2匹のネコたちと暮らしています。4年前にハウスメーカーで、オール電化の家を建てました。

延床面積27坪の総2階の家に、10.08kW(10kW未満申請)の太陽光パネルを搭載。大容量の太陽光パネルを採用したことで、入居してから2年半、光熱費は黒字でした。

しかし、電気の高騰により状況が一変します。

売電額よりも電気代が上回るようになったのです。そこで、なるべく買う電気の量を減らすため、太陽光が発電する時間帯に電気を集中して使う生活に変更しました。

それまで深夜に稼働させていた、エコキュートや食洗機、洗濯乾燥機などを、日中の発電している時間帯にすませることにしたのです。これにより、売電は下がってしまいましたが、それでも差し引きで、赤字を減らすことができました。

蓄電池をあとづけして、月々の光熱費を抑えることに

自家消費に回しても、発電した電気がまだまだ残っていることに気づいた筆者。それなら蓄電池を導入して、発電のない夜間にも使えるようと考えました。

そうすれば、もっと光熱費を抑えられるはず。蓄電池のあとづけ設置に踏みきったのです。

わが家があとづけした蓄電池は、定格容量7.04kWhのもの。実効容量は6.2kWhの全負荷タイプ(停電時に家の中のすべての電気が使用可能なタイプ)です。費用は、工事代を含め75万5700円。自治体の補助金を利用したので、かかった費用は実質およそ70万円でした。

蓄電池のあとづけ工事は1日で完了。設置を終えると、その日から使えるようになりました。

蓄電池を設置後、買っていた夜間の電気が減った

蓄電池をあとづけしてからは、発電された電気を充電。発電のない夜間の時間帯は、蓄電池にたまっている電気を使う生活に。入浴をしたり、夜ごはんをつくったり…、蓄電池の電気を使うようになって、夜間に買う電気の削減につながりました。

これにより1日の買電量が0kWhの日も出てきました。買う電気の大幅な削減になったことで、驚くことに電気代が100円をきる月も!

設置後は基本料金のないプランに変更

じつは蓄電池をあとづけする前に、電力会社の見直しをしました。そして、新電力の基本料金のないプランに変更。

蓄電池の設置後、夜間の電気を蓄電池からまかなえるようになれば、多少電力単価が高くても基本料金がないプランにした方が、お得になると考えたからです。実際に蓄電池を導入して買電しない日もあったので、プランの変更は正解だったと思います。

では、蓄電池を導入する前の電気代とあとづけしてからの、電気代の比較を見ていきましょう。

上のグラフは、青い線が蓄電池を導入する前の電気代。黄色の線が蓄電池をあとづけしてからの電気代です。日々の生活はまったく変えていませんが、蓄電池をあとづけしてから電気代が、大幅に減りました。

冬期の1〜2月は、全館床暖房が24時間稼働しています。そのため、深夜の2時頃には、蓄電池の充電がなくなってしまいます。

それでも電気代が、半分以下に抑えられていたのはありがたい限り。5月になると94円を実現。100円以下の電気代には驚きでした(前年の5月は5271円!)。

蓄電池を設置したあとも、売電額は想定以上!

上のグラフは、青が蓄電池を導入する前の売電額。緑が蓄電池をあとづけしてからの売電額です。

蓄電池の充電には、太陽光発電を使用しているものの、売電はまだ残っていました。以前と比べても、半分も下がっておらず、想定以上に残っている結果でした。

蓄電池で電気代を抑えながら楽しく生活できる

上は、アプリでわかる「発電・充電」状況です。天気のいい日は、100%充電になり、自家消費しているぶんを差し引いても、かなり売電していることがわかります。

ちなみに、太陽光発電から蓄電池の充電をしているため、雨の日はフル充電できません。そんな日があっても、電気代が以前より半分以下になったことに満足しています。

また、事前に雨で発電が見込めないとわかったときには、できる範囲で工夫を。食洗機を使わず手洗いにする、洗濯を翌日にずらすなどしています。

節電意識も高まりました。今後も、小さな節電を心がけ、楽しみながら暮らしていきたいと思います。