歳を重ねて重いバッグが負担になったり、パスケースやお財布を入れ忘れたり、鍵が行方不明になったりした経験はありませんか? 今回はバッグを軽くしたり、「うっかり忘れ」が減るテクニックをご紹介。中身を見直した小林さん、木村充子さん、原田さよさん、筆子さんの4人にお聞きしました。

軽くて大容量のトートバッグに、必需品をすべて収納

“今あるものを生かす暮らし”が高く評価され「ESSE収納グランプリ」を受賞した小林さん。年齢とともに重いバッグが苦痛になってきたそうで、電車で外出するときは軽くてものがたくさん入る布製のトートバッグを愛用しています。

【写真】バッグに入れるポーチの中身

普段から荷物は少なめですが、夏は水筒や日傘、冷房対策のカーディガンなど持ち歩くものが増えます。そんなときでも、肩かけできてストレスフリー。ちょっとした買い物なら、エコバッグなしでそのまま商品を入れられて便利です。

また、バッグをいくつも持って外出すると、うっかり置き忘れるのが心配な年頃になったのでその対策にもなっています。

小物類はひとつのポーチにまとめてすっきりと

愛用しているトートバッグには仕きりポケットがないので、バッグの中で荷物がごちゃつきがち。そのため、小物類をひとつのポーチにまとめています。以前は鍵を入れるポーチ、常備薬のポーチ…と小分けにしていましたが、ポーチが多いとごそごそ探すのがかえって大変。ひとつのポーチにまとめるようになりました。

ポーチの中身は必需品の頭痛薬をはじめ、日焼け止めやリップクリーム代わりのヴァセリンなどを無印良品の小分け容器に詰め替えて収納。化粧品は口紅のみ。家の鍵もポーチにしまいます。

いざというときのマスクやばんそうこうは、以前買いものをしたショップでもらったクリアファイルを切ってつくったケースに入れています。めったに使うことはないですが、かさばらず持ち歩けて便利です。

そのほかにも、最近はゴミ箱がすぐに見つからないことも多いので、ミニサイズのゴミ袋も常にポーチに入れています。

オンオフ問わず、どこに出かけるときもバッグは1つだけ

50代に差しかかり、以前よりも忘れものが増えたと感じているのは、整理収納アドバイザーの木村充子さん。荷物を2つに分けたときに、1つを外出先に置き忘れることが多いそうです。

そこで、持ちものは必ず1つのバッグにまとめるようにしているそう。整理収納アドバイスの仕事でお客様のお宅を訪問するとき、それ以外の仕事やプライベートの用事で長時間外出するとき、近所のちょっとしたお出かけのときと、外出の目的によってバッグを替えますが、持ち歩くバッグはいつも1つだけ。

2つのポーチをお出かけ時間の長さによって使い分ける

バッグを1つにするために、持ち歩くものはできるだけコンパクトにして、2つのポーチに分けてまとめています。

1つ目のケースには、外出時の必需品を入れています。

・財布
・家のカギ
・ハンカチ
・メモ帳
・ペン
・イヤホン
・撥水タイプの風呂敷

もう1つのケースには、身の回りのものを入れています。

・メイク道具
・アロマオイル
・常備薬
・マスク
・予備のコンタクトレンズ
・ヘアブラシ

短時間の外出には必需品を入れたポーチだけ、1日中外出するときは2つともバッグに入れて出かけるというように、外にいる長さに応じて持ち歩くポーチの数を変えています。ポーチとして使っているのは、無印良品の「ナイロンメッシュケース・ポケット付き B6サイズ用」。ほどよく中が見えるので、2つのポーチを間違えることはありません。

外出時はコンパクトで多機能な「風呂敷」が使える

1つ目のポーチには、エコバックの代わりとして撥水タイプの風呂敷も持ち歩いています。エコバッグとしてだけでなく、敷き物にしたり、傘を忘れてしまったときに雨具の代わりにしたりと、さまざまな用途に使えて便利です。

気軽に洗濯ができるので、常に清潔に使える点も気に入っています。

※ 紹介したアイテムは、すべて著者自身で購入した私物です。店舗への問い合わせはご遠慮ください

※ 紹介した商品は、取材時に各店舗で販売されていたものです。仕入れ状況によって同じ商品がない場合や、既に販売終了している可能性もありますので、ご了承ください

年齢を重ねて気づいた「快適なバッグの中身」

整理収納アドバイザー・原田さよさんは、関節リウマチで右手に少しハンデを抱えています。

バッグの中に手を入れてなにかをゴソゴソ探すのは、痛みのある手にとってけっこうな負担。その負担を少しでも減らすためにバッグの中身を変えてきたそうです。

●お財布はカバンから探しやすい色にする

バッグからの取り出しやすさを考え、お財布の形や色を50代になってから変えました。支払いはバーコード決済かカード払いが中心ですが、やはり小銭や紙幣が必要なときもあります。そういうときに、お財布を変えてよかったと思います。

<財布選びのポイント>

・バッグから取り出しやすい大きめのもので、なるべく軽いもの
・開口部が大きいもの
・持つときに滑りにくい、表面に凹凸のある革のもの
・パッと目につく明るい色のもの

また、お財布はファスナー式の方が、がま口タイプより手首に力を入れなくていいので個人的にラクです。

●ハンカチとハンドクリームはセットにしておく

バッグのポケットに、ハンカチと一緒にハンドクリームを入れています。こうしておくと、手を洗ってふいたあとすぐハンドクリームを塗ることができます。収納の基本「なにかをするときに使うものは一緒に」というわけです。

●鍵はパッと見つけやすいように工夫する

わが家は古い建売住宅なので、玄関は普通の鍵を使っています。その鍵がバッグの中ですぐ見つからないとストレスになります。

そこで、鍵は「帽子クリップ」などを使ってバッグの内側につけ、すぐ出せる工夫をしました。帽子クリップとは、帽子が飛んでいかないように、帽子と服をくっつけるクリップです。

使っているものは、「不便だな、ストレスだな」と感じたときが変えどき。ぜひ、そう感じるようになったタイミングに合わせて、今までのやり方を見直してみてはいかがでしょうか。

50代からバッグの中身を厳選。不要なものを捨ててすっきり

カナダ在住で、ミニマリストに関する著書をもつ筆子さん(現在は60代)。毎日持ち歩くバッグは軽ければ軽いほどラクですが、人間は欲張りなうえ、心配性なので、知らないうちに荷物が増えると語ります。筆子さんがバッグの中から取り出したほうがよいものをカテゴリ別に紹介します。

●ゴミ・意味のないもの

まず明らかなゴミを捨てます。お菓子の包み紙やあき箱、大昔のメモ、チケットの半券、街角でもらって入れっぱなしになっていたコスメのサンプルなど。

持ち歩く意味がまったくないものも取り出してください。たとえば、孫や子どもから預かって、そのままになっていたマスコットやガチャポンなどです。

●財布の中身

財布をバッグの中に入れている人も多いでしょうから、財布の中身もスリムダウンしましょう。多すぎる小銭、領収書、レシート、ポイントカードを取り出します。

確定申告や経理上の手続きに使うものは、バッグに入れっぱなしにせず、しまっておく場所を決めて、すぐに移動させてください。

めったに利用しない店のポイントカードは捨てましょう。苦労してポイントをためても、たいした割引は得られません。

●ポーチの中身

化粧品を入れているポーチの中も厳選しましょう。出先で実際に使う化粧品のみを入れます。歯みがきセット、目薬、ティッシュなども入れすぎないように。

ふだん化粧に使うアイテムを減らすのもおすすめです。私は化粧をしないので、化粧ポーチも持ち歩きません。

身軽なバッグにするコツ

最後に、バッグを軽くするコツを5つ紹介します。

(1) 必要なものだけを持ち歩く

(2) 定期的に、中身をすべて取り出して、バッグの中を片づける

(3) バッグそのものを見直す

バッグが大きいと、不用品をたくさん入れてしまうので、ジャストサイズかやや小さめのものがおすすめです。今度バッグを買うときは、重たいバッグは避けてください。

(4) デジタル化

仕事の書類も本も、アナログで持ち歩くより、デジタル化したほうが圧倒的にかさばりません。

(5) 強いこだわりを捨てる

「これじゃなきゃだめ!」という強いこだわりは捨てて、外出先では、手近にあるもので、臨機応変に対応できる人になってください。

先日、カフェで勉強するとき用のペンケースを紹介する動画をYouTubeで見ました。その方は、ボールペンの替芯をいくつか持ち歩いていました。

ボールペンの替芯はたいした荷物になりませんが、「同じ色を使い続けるために、スペアをスタンバイさせておきたい」という気持ちは、ほかのすべての所持品に働きますから、バッグの中も家の中もものが増えます。

荷物の少ないバッグを使う生活になると、家の中もすっきりしてきますよ。