夜によく眠れない、冷えてだるいなど、夏の不調に悩んでいる人は、知らないうちに不調を招く習慣を重ねている場合があります。そこで、暑い夏こそ取り入れたい“養生のコツ”を、漢方専門家の櫻井大典さんにお聞きしました。ハードルを上げすぎず、まずは生活や食習慣で体を立て直すことを心がけてみましょう。

暑い夏、よく眠るためのコツ

暑い夏は、寝入りが悪く熟睡できないもの。ただ、夜は体の余分な水を流し、栄養を蓄えた「血」を五臓の「肝」にためる時間。疲れをとる意味でも、質のよい睡眠のための工夫を。

●10分でも早くベッドに入ろう

日の入りが遅い夏は、多少の夜更かしはOKとされています。

「とはいえ、夜は「血」がつくられる時間。睡眠不足だと体の修復ができずに疲れがたまります。せめて23時までには寝床へ。10分でも早く寝るという意識を」(漢方専門家の櫻井大典さん、以下同)

●1日の終わり、ぬるめのお湯にサッとつかって温まれば快眠

冷房が効いた室内にいると「血」の巡りが悪くなるので、湯船につかって軽く汗をかいて。

「入浴は自律神経を安定させ、入眠がスムーズに。ただし夏はのぼせやすいので、40℃前後のお湯に最大15分を目安にしましょう」

●冷房を除湿設定にして布団をかけると朝までぐっすり

朝まで熟睡できる睡眠環境を。

「湿気も『脾』の不調につながります。寝苦しい夜はエアコンの除湿モードも活用して。冷たい風が直接当たらない工夫をしたうえで、薄手の布団や長ズボンで体の表面を守ってください」

冷えてだるくなる

夏は思った以上に体を冷やす原因だらけ。冷房に当たり、冷たいものを食べると「血」の巡りが悪くなり、冷えてだるくなるもの。余分な水分がたまり、むくみにもつながります。

●羽織ものが夏の冷えから体を救う!

夏はノースリーブや素足にサンダルのような薄着で外出することも。

「屋内はどこでも冷房が効きすぎているため、寒暖差で体には負担が。外出時にはカーディガンのような羽織ものを持って行き、冷えから身を守って」

●1日1回は外に出て汗をかこう

熱中症の心配もあるからと、外出もせず家でゴロゴロしていませんか? それでは体が冷えるばかり。

「体に発生した熱を逃すために発汗は大切。早朝か夕方に外に出て、散歩をするなどして軽く汗をかきましょう」

●ドリンクを氷入りで味わうのは初めの数口に

夏は冷たい飲み物を口にしがち。

「体のためにはなるべく避けることを心がけましょう。アイスコーヒーが飲みたくなったら、最初の数口を氷入りで飲んで、残りの氷は除くなど、冷たいまま飲み続けないことも効果的です」