6速MT搭載! ホンダ新型「ホットハッチ」初公開! 日本復活した「走りのRS」シフトチェンジの“楽しさ”を「最速試乗」で確認! 最強仕様「タイプR」との違いとは?
ホンダ新型「シビックRS」にさっそく試乗!
ホンダは2024年8月1日、「シビック」のマイナーチェンジモデルに関する情報を発表。
新たに「RS」というMT専用のグレードを設定し、2024年9月に発売します。
ホンダ伝統のグレード名であるRSの復活に期待が高まりますが、では一体どのような走りのモデルに仕上がっているのか、実際に試乗してチェックしました。
ホンダの調査によると、なんとシビック(タイプRは除く)の直近のMT比率は驚きの58%なのだとか。
【画像】おぉぉお!カッコいい! これが「新型シビックRS」です!(50枚)
にわかには信じがたい数字ですが、誤字ではありません。2022年に現行型シビックが登場した際は34%だったのが、じわじわと上昇しているのだそうです。
ホンダが分析するその理由はふたつあり、まずは「MTが選べる車種が減っているから」。
そして「この先MTが買えなくなるかもしれないから、今のうちに楽しんでおこう」というニーズの増加なのだとか。
前者は誰もが感じていることでしょう。少し前のCセグメントハッチバックは、スバル「インプレッサ」やトヨタ「カローラスポーツ」などにもMTの選択肢がありましたが、気が付けば終了。
現在、シビックのほかにこのクラスで用意されているのは「マツダ3」くらいです。ほかのセグメントも、MTの選択肢はどんどん減っています。
また、ハイブリッドやEVがますます増えることでMTの選択肢がさらに狭まるのも予想される未来。
となれば「今のうちにMTを楽しんでおこう」と考える人が増えるのも当然のことでしょう。
ホンダはそんな市場の反応を受けて、追加車種を用意。シビックに“もっとスポーティな仕様のMT”を追加しました。
それが「シビックRS」です。
MT好きとしては、MTが減っていくこのご時世の中、MTだけの特別な仕様を用意してくれたことがまず嬉しいじゃないですか。
「Type RのDNAを受け継いだ、街乗り最高スポーツ」というのがシビックRSのコンセプトで、いうなれば「普通のシビック以上、Type R未満」。
かつての「Si」や「SiR」のような、気軽に乗れるスポーツ仕様というわけです。
気になる中身は、1.5Lターボエンジンを積む従来のガソリンMT車をベースに、エンジンレスポンス、ハンドリング、そしてブレーキをスポーティチューン。
エンジンレスポンスは軽量フライホイール(標準車に対して重量で23%減、慣性モーメントでは30%落とした)の装着によりエンジン回転アップ/ダウンのレスポンスを向上。
回転上昇レスポンスは約3割、回転落ちのレスポンスは約5割もアップしているといいます。
そこにシフトダウン時のエンジン回転数を電子的に自動制御する「レブマチックシステム」を搭載することで、MTに不慣れな人でもスムーズに運転できるように配慮しました。
また、走行モードには「SPORT」を追加し、加速レスポンスのアップと、重めの操舵力となるパワーステアリング設定を選べるようになっています。
ハンドリングは、スプリングやスタビライザーの強化によりロール剛性を11%アップ。もちろんダンパーも専用品です。
そのうえステアリング系部品はトーションバーレートを60%もアップし、よりスッキリとしたステアフィールを目指しています。
また、ブレーキローターの大径化とブレーキパッドの強化、さらにはブレーキ踏力設定の変更によって効きとフィーリングの両方を高めました。
試乗して驚いた! 新型「シビックRS」の“走り”
では、実際のドライバビリティはどうか。
まず感じたのは、シビックの安心感はそのままに、ターンインではスッと向きを変える軽快感です。
シビックは標準タイプでもシャシーのポテンシャルが高く、旋回中のライントレース性(ドライバーが狙った走行ラインをしっかりと通るハンドリング)が特徴。
奥が深く回り込むコーナーでもアンダーステアが顔を出さない安定感に驚きます。
RSは、そんな懐の深い操縦性はそのままに、ちょっとだけ挙動がシャープになった印象。
曲がり始めでよりスッと向きを変えるようになりました。ちなみに車高は5mmダウンしています。
ハンドル操作の反応が俊敏になり、ひときわ爽快な運転感覚としつつ、絶妙だと思うのはクイックにはなりすぎていない味付け。
ノーマルのバランスの良さに、スポーティなフレーバーを追加したような感覚といえば分かりやすいでしょうか。
またエンジンレスポンスの向上に加えて、アクセルオフ時の回転落ちが早くなったことでシフトアップ時のつながりが良くなり、加速が爽快になりました。
加えてコーナー手前でのシフトダウン時は、ヒール&トゥが決まりやすくなったことを実感します。「スッ!」と決まりますよ。
シフト操作といえば、クランク状に曲げたシフトレバー(見えている部分ではわからない)を組み合わせることで、シフトレバーがドライバー側に少し傾いているのもRSのポイント。これもシフト操作性を高めるためです。
組み合させるシフトノブも、「S2000」や「S660」用に似ている専用品(北米向け「Si」と共通)で、質感とタッチが良好。コックピットをスポーティに演出しています。
そんなRSは、Type Rのように気合を入れてサーキットを走るためのクルマではありません。
しかし、標準仕様の安定感は持ちつつ、気持ちよく走れるようになったことが実感できました。
クルマ全体を通して思ったのは「やりすぎない絶妙なサジ加減」ということ。
スポーティだけど体育会系過ぎない、本格スポーツシューズではなくスニーカーの様に気軽に付き合えるキャラクターです。乗り心地も含めてそう実感しました。
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なお、シビックはRS登場と同時にマイナーチェンジを実施。外観上はフロントバンパーの形状がリファインされたほか、先進安全装備の機能向上、ナビをはじめとするインフォテイメントシステムの刷新(Googleのシステムを採用)、オートブレーキホールドのメモリー機能(エンジン再始動後も前回の状態をキープする)、さらにハイブリッドの上級仕様(e:HEV EX)に可動式パノラマサンルーフを設定しました。
また、「e:HEV LX」というハイブリッドのベーシックグレードも新設定。
さらにRSの追加により、MTモデルはスポーティな仕立てとしたRSだけの設定となりました(Type Rを除く)。
どうせMTを選ぶなら、このくらい気持ちよく走るキャラクターのクルマに乗りたい。
シビックRSはそう思わせる仕上がりでした。