一線での活躍を続ける市原隼人さん(37歳)

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 映画デビュー作であり、主演を務めた『リリイ・シュシュのすべて』(2001)から、一線での活躍を続ける市原隼人さん(37歳)。
 ドラマ『WATER BOYS2』『ROOKIES』といった作品でも人気を博してきましたが、2019年からスタートし、ドラマも劇場版も大好評を博している『おいしい給食』シリーズの主演で魅せた、これまでのイメージを覆す全力演技でさらに支持層を拡大。

 放送・配信中である最新主演作のクライムサスペンスドラマ『WOWOW×テレビ東京共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season2』では、巨大詐欺組織を喰らう詐欺師の田胡悠人を演じて、また新たな一面を披露しています。

 そんなコメディからシリアスまでどんな作品の真ん中にも立てる演技力と求心力に、改めて評価が高まる市原さんを“奮い立たせる”思いとは? 壁にぶちあたって停滞している人へ熱いメッセージももらいました。

◆自分が変わればすべてが変わる

――30代、さらにギアがあがった印象ですが、自分を奮い立たせる言葉のようなものはありますか?

市原隼人(以下、市原):僕は、自分自身を楽しませられるのは自分しかいないと思っています。なので、なにかをやらずに後悔するより、自分を使って、行動をおこして後悔するほうが納得できる。結局、自分で選択してきた道ですから。そこで自分を生かすも殺すも、楽しむのも楽しまないのも自分次第。

「いい環境になればいいな、いい仕事がくればいいな、いい人と付き合いができればいいな」ではなく、いい環境に、いい仕事に、いい人付き合いに、自分がしなければいけない。自分が変わればすべてが変わる。そうした“思い”を常に持っていることで、救われる部分が僕にはあります。

――かなり強い“思い”ですが、市原さんは、それで「救われる」んですね。

市原:押し付けは苦になるので、決して押し付けたくはないと思っています。僕の場合は、どう見られるかを気にするのではなく、自分がどう在りたいかを大切にするようになって変わりました。若い頃には背伸びをしたり、強がって思ってもいないことを口にしてしまったりして、それが自分の足かせになったこともありました。ですが、自分がどう在りたいかを軸にしてから変わりました。

◆自分自身の可能性をつぶさない

――停滞したまま、楽しめずにいる人もいます。

市原:幸せの定義というのは人それぞれだと思います。おそらくみなさま、これまでにいろいろな壁にぶち当たったり、苦手なことを経験されたりしたと思うんです。でもそこで全てを遠避けるのではなく、いつかそれを克服して、自分のものにできるかもしれない、壁を乗り越えられるかもしれないという“可能性”だけは残していただけたら、その方が僕は良いではないかと思います。

 その人が、自分自身の可能性をつぶさないこと。それが人生を楽しむためのひとつの大きな手段だと思います。可能性さえ捨てなければ、たとえ目標にたどり着かなくても、そのプロセスのなかで、また新たな喜びを発見できるかもしれません。おこがましいですけれど、僕も同じ思いで、日々壁にぶち当たって、毎日心を折られるなかで、可能性だけはつぶさずにいたいなと思っています。

◆最新ドラマを前に、孤独感でいっぱい

――クライムサスペンス『ダブルチート 偽りの警官 Season2』がスタートしました。4月期にテレビ東京で放送された向井理さん主演のSeason1から、WOWOWにバトンタッチして、市原さん演じる田胡悠人を新たな主人公に展開していきます。1からの物語を受けての2の主演というスタイルへの挑戦はいかがですか?

市原:とても難しかったです。Season1で構築された組の空気感や雰囲気だったり、シーズンを通じて作品として何を伝えたいのかを考えたりしています。本当の正義とは何なのかという大きなテーマが見える、難しい作品です。撮影に入る前に各プロデューサーや監督陣と一緒に色々と話し合うなかで、ヒューマン的な部分がより前に出る作品になってきました。