Googleが本物に見えるデジタル選挙広告の開示を義務付ける、広告ポリシーを変更で
Googleが2024年7月1日に、政治に関するコンテンツポリシーを更新し、本物および本物のように見える人物や出来事を装って描写した合成コンテンツまたはデジタル改変コンテンツを含む選挙広告では開示情報を表示するよう義務付けました。
合成コンテンツの開示要件に関するポリシーの更新(2024 年 7 月) - Google 広告ポリシー ヘルプ
https://support.google.com/adspolicy/answer/15142358
https://support.google.com/adspolicy/answer/6014595
Google to require disclosures for digitally altered content in election ads | Reuters
https://www.reuters.com/technology/google-require-disclosures-digitally-altered-content-election-ads-2024-07-01/
Googleは今回の更新で、本物に見える人または出来事を人為的に描写したものを「合成コンテンツ」と定義し、合成コンテンツが含まれる選挙広告にはそのことを明確に開示することを義務づけました。対象となるのは、画像、動画、音声コンテンツです。
合成コンテンツの具体例としては、人が言っていないことを言ったり、していない行為をしたりしているように見えるもの、実際の出来事の映像を改ざんするもの、実際には起きていない場面を描写するために現実的な描写を生成したものなどが挙げられていますが、これに限りません。
一方、画像のサイズ変更、切り抜き、色や明るさの補正、赤目の除去などの欠陥補正といった編集や、実際の出来事をリアルに描写していない背景の編集など、重要度が低いものは対象外となります。
このポリシー更新により、選挙広告を打つ広告主は出稿の際、キャンペーン設定の「改変または合成されたコンテンツ」セクションのチェックボックスをオンにしなければなりません。
チェックを入れると、スマートフォンのフィードやショート動画、インストリーム広告(YouTube広告など動画の枠内で配信されるもの)ではGoogleが自動生成した開示情報が表示されます。
それ以外の広告では、広告主が自分で見えやすい位置に明確な表示を入れなければなりません。許可される表示の例は「この音声はコンピューターで生成されたものです」「この画像は実際の出来事を描写するものではありません」「この動画コンテンツは合成によって生成されました」などです。
2024年11月のアメリカ大統領選挙を控えたGoogleの動きの背景には、AIにより簡単にテキストや画像、映像を生成できるAIの急速な発達と、それが民主主義に及ぼす影響への懸念があります。2024年4月19日から6月1日にかけて行われた世界最大の選挙であるインド総選挙では、ボリウッド俳優がナレンドラ・モディ首相を批判し野党に投票するよう呼びかけた偽動画が出回り、警察が捜査に乗り出すなど対応に追われました。
また、政治的主張とは異なりますが、日本でも岸田文雄首相が下品な発言をしたディープフェイク動画が拡散されて問題になったことがあります。