Metaの「支払いか同意か」というモデルがDMA違反だという予備調査結果を欧州委員会が通知
MetaはFacebookとInstagramで広告を削除できる有料プランを提供していますが、消費者団体から広告のためにお金を払うか個人情報を差し出すかを迫る不公平なものと苦情を申し立てられています。EUの行政機関・欧州委員会は、このMetaが行っている「同意か支払いか(Consent or Pay)」モデルについて予備調査を行い、EUのデジタル市場法(DMA)違反に当たるとMetaに通知したことを発表しました。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_3582
Meta's pay or consent model in crosshairs for breaching EU tech rules | Reuters
https://www.reuters.com/technology/meta-charged-with-failing-comply-with-eu-tech-rules-2024-07-01/
Metaは2023年11月からヨーロッパで、FacebookとInstagramの広告を削除できる有料プランを提供していますが、不当に高額であり、「ターゲティングに個人情報を使用することを受け入れるか、嫌ならお金を払うか」を迫る不公平なものであると消費者団体が苦情申し立てを行っています。
2024年4月には欧州データ保護委員会が「Consent or Payモデルを採用するのであれば、有料の代替手段だけを提供することが普通であってはならない」と、第3の選択肢を示すよう求めました。
EUがMetaに「広告が嫌なら金払え」をやめろと勧告、無料で個人情報も使わない「第3の選択肢」義務化へ - GIGAZINE
今回、欧州委員会はMetaの「Consent or Payモデル」について、DMA第5条第2項で定められた必要な要件を満たしておらず、DMAに準拠していないという見解を示しました。
特に「ユーザーが、個人情報を利用する分量が少なく、それ以外はパーソナライズド広告に基づくサービスと同等のものを選ぶことを認めない」「ユーザーが、『個人データの組み合わせに自由に同意する権利』を行使することを認めない」の2点について、DMAに準拠するのであれば、Consent or Payに同意しないユーザーは、個人情報の使用量が少ない同等のサービスが利用できるようにする必要があると指摘しています。
欧州委員会による予備調査の結果の通知を受けて、Metaは書面で返答することで、防御の権利を行使する可能性があるとのこと。
委員会は12カ月以内に調査を終了する予定で、予備的見解が最終的に確認された場合、MetaのConsent or PayモデルはDMA第5条第2項違反であることが採択され、Metaは全世界の売上高の最大10%に相当する額の罰金を課される可能性があります。また、侵害が繰り返された場合、罰金は全世界売上高の最大20%に達する可能性があります。
欧州委員会で競争政策担当執行副委員長を務めるマルグレーテ・ベステアー氏は「我々の調査は、Metaのようなゲートキーパーが長年にわたり何百万人ものEU市民の個人データを蓄積している市場での競争力を確保することを目的としたものです。我々の暫定的な見解は、Metaの広告モデルがDMAに準拠していないというものです。市民が自分のデータをコントロールして、パーソナライズされていない広告体験を選択できるようにしたいと考えています」と述べました。
また、域内市場担当委員のティエリー・ブルトン氏は「本日、我々はMetaによるDMAの完全準拠の実現に向けた、重要な一歩を踏み出します。我々の暫定的な見解では、MetaのConsent or PayモデルはDMAに違反しています。DMAは、データがどのように使用されるかを決定する権限をユーザーのもとに取り返し、データアクセスに関して、イノベーション企業がビッグテックと対等に競争できるようにするために存在します」と述べています。