“4年前の悪夢”非難の応酬を防ぐ『新ルール』全米が注目!大統領選TV討論会

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秋に行われるアメリカ大統領選挙。その前哨戦となるテレビ討論会が27日に行われます。非難の応酬から泥仕合に終わった4年前の討論会を踏まえ、今回は“異例ずくめ”の展開となりそうです。

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■“異例ずくめ”の直接対決

本来なら夏の党大会で正式に候補が決まってから行われるはずの討論会は、無観客で開催となります。過去50年で例のないことです。

さらにもう1つ、こんなルールも加わりました。

CNN
「発言者に持ち時間を知らせるため、カメラやスタジオの見える位置にライトを設置しています。残り15秒でライトが黄色に、残り5秒で赤く点滅します。赤く点灯すると時間切れでマイクがオフになります。同時に相手側のマイクがオンになります」

ここまでの措置が取られるワケ。“史上最悪の討論会”と言われた4年前の悪夢を繰り返さないためです。

大統領候補者討論会(2020年9月)
バイデン氏
「さあ投票して。上院議員に気持ちを伝えて」
トランプ氏
「裁判所を抱き込めるのか?」
バイデン氏
「今すぐ投票してください。上院議員に意見を伝えてください」
トランプ氏
「答えない気か?」
バイデン氏
「質問には答えない」
トランプ氏
「なぜ質問に答えない。最高裁判事を増やすのか」
バイデン氏
「おい黙ってくれないか」

相手の発言などおかまいなしにカットインするトランプ氏。ペースに乗せられたバイデン氏も…。

バイデン氏
「トランプ氏の発言全てが嘘だ。みな彼が嘘つきだと知っている」
トランプ氏
「嘘つきはそっちだろう。大学の成績は首席どころかビリだったくせに」
バイデン氏
「あなたは大統領として国を引っかき回してきた。アメリカ史上最悪の大統領だ」
トランプ氏
「私の47カ月の成果は、そっちの47年分をはるかに上回る」

視聴者数は過去3番目に多い7300万人。そこで繰り広げられた、子どものけんかのような応酬。観た人の7割が「不愉快だった」と答え、「勝者は不在、敗者は視聴者」と評されるほどでした。

CNN
「演壇に緑色のランプが2つ設置され、点灯中はマイクがオンになっています。消えるとマイクがオフになったことを示します。マイクがオフになっても相手の発言を妨害したらどうなるか。こちらのボリュームは変わらず、相手の発言はほとんど聞こえません」

双方ともこのルールを受け入れると表明していますが、片や“常識破り”が代名詞のような人物と、片や短気で失言も多い人物です。蓋を開けてみるまでどうなるか分かりません。

■たった一夜で勝敗左右も…

ここでのミスが命取りとなり、大統領選の流れが大きく傾くこともあるのが討論会です。それは、発言だけでなく、しぐさや立ち振る舞い1つでも起こり得る。そう歴史が証明しています。

テレビ討論会は1960年、アメリカ大統領選に初めて導入されました。

民主党 ケネディ上院議員(当時)
「大事なのは各政党が支持してきた政策がなんなのかという点です。考えるべきはどちらの党に国のかじ取りを任せたいかでしょう」

共和党 ニクソン副大統領(当時)
「(Q.ニクソンさん反論は)ありませんよ」

ケネディ氏は白黒テレビでも目立つ黒スーツで、少し日焼けして若々しい表情を演出。その後、下馬評を覆して大統領選に勝利した一因と言われています。

1時間半にわたる生放送で“どう映るか”は、話している内容と同じくらい重要です。特に81歳のバイデン氏は、これまで何度も健康不安が指摘されています。27日の討論会は、3分半の休憩が2回あるだけです。その際、陣営スタッフとの接触も禁止。“セコンドなし”で90分戦うことになります。体力・集中力の衰えをさらせば、つけこまれる格好の材料です。

共和党 トランプ前大統領(22日)
「きょうは『寝ぼけたジョー』と呼ぶことにしよう。あのペテン師は今、山小屋で討論会の準備中らしいが本当は眠りこけているだろう。バイデン陣営は彼を健康に見せようと、討論会直前に尻に注射を打ってシャキッとさせるんだ。討論会にはハイになって登場するだろう」

無党派層や、投票先を決めかねている有権者の行動に大きな影響を与える討論会。

投票先未定の有権者
「4年前とは状況が大きく異なります。状況を転換させるような候補者の政策を聞きたい。国がかつてなく分断されているので、どんな政策で結束を取り戻し、経済を安定化させるのか気になります」