ニンニクを食べるとエネルギーがみなぎってくるような感覚になる人は多いはず。中国の東南大学の研究チームが「ニンニク関連の過去の研究成果」を包括的に分析した結果、ニンニクには血糖値やコレステロール値を抑える効果もある可能性が浮上しました。

Nutrients | Free Full-Text | Effects of Garlic on Glucose Parameters and Lipid Profile: A Systematic Review and Meta-Analysis on Randomized Controlled Trials

https://www.mdpi.com/2072-6643/16/11/1692



ニンニクは食材としてだけでなく、漢方として用いられることもあります。研究チームは、ニンニクが「糖代謝異常や脂質異常の治療薬」として役立つ可能性に着目し、ニンニクと血糖値やコレステロール値の関連性を分析することにしました。

研究チームは研究論文データベースからニンニクに関する論文を2553件抽出し、その中から血糖値やコレステロール値などの測定結果を含むものを分類。さらに、データの完全性や実験の信頼性を評価し、最終的に29件の実験データを含む22件の研究論文を分析対象として選択しました。

分析対象の研究論文にはアメリカ、イスラエル、イラン、インド、カナダ、デンマーク、パキスタン、ブラジル、ポーランド、ロシア、韓国での実験データが含まれており、被験者の人数は合計1567人、年齢は18歳から80歳の範囲でした。また、各論文では「空腹時血糖値」「グリコヘモグロビン値」「総コレステロール値」「HDLコレステロール値」「LDLコレステロール値」「中性脂肪値」が分析されていました。なお、ニンニクは「生ニンニク」「ニンニク粉末」「ニンニク油」「熟成ニンニク抽出物」「腸溶製ニンニクサプリ」といった状態で被験者に投与されました。



各論文を包括的に分析した結果、ニンニクを投与された被験者では「空腹時血糖値」「グリコヘモグロビン値」「総コレステロール値」「LDLコレステロール値」が有意に下がり、「HDLコレステロール値」が有意に上昇することが明らかになりました。一方で、「中性脂肪値」の有意な増減は確認できなかったとのこと。ちなみに、有意に下がることが確認された「LDLコレステロール」は一般的に「悪玉コレステロール」と呼ばれる動脈硬化を促進するコレステロールで、「HDLコレステロール」は「善玉コレステロール」と呼ばれる動脈硬化を抑制するコレステロールです。

研究チームは分析結果をもとに「ニンニクは糖代謝や脂質代謝に関連する疾患を持つ患者にとって有益だと推測できる」と結論付けています。一方でニンニクが中性脂肪に与える効果を検証するには、大人数の被験者を募った別の研究が必要だとも指摘しています。