組織を破壊したイタリア 圧勝劇の裏にあった日本への“リスペクト”「彼女たちは常識を超え、大きく成長してきた」【女子バレー】

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エースのエゴヌを中心とした強打で日本を破ったイタリア。その勝利の裏には相手に対するリスペクトがあった。(C) Volleyball World

 47年ぶりの主要国際大会制覇を目指した日本の前に、“青き壁”が立ちはだかった。

 現地6月23日、タイ・バンコクで女子バレーボールのネーションズ・リーグ決勝が行なわれ、世界ランク6位の日本は、同1位のイタリアにセットカウント1ー3(17-25、17-25、25-21、20-25)で敗戦。惜しくも金メダル獲得とはならなかった。

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 地力の差が浮き彫りとなった。日本は序盤から身長194センチの大型オポジットのパオラ・エゴヌを中心としたイタリアの強打に対応できずに苦闘。リズムを掴めないまま第1セットを落とすと、続く第2セットも相手のパワーを前に太刀打ちできずに17-25で奪われてしまう。

 中盤からバックセンター攻撃が機能し始めた第3セットは何とか取り返した日本だったが、勝負の第4セットは三度、イタリアペースで進行。やはり大砲エゴヌの破壊力あるスパイクを食い止めきれずに苦戦を強いられ、20-25で万事休すとなった。

 結果的に「圧勝」と言える形で勝利したイタリア。そんな世界ランク1位の強敵に粘りを見せた日本には、相手からの賞賛も集まった。

 イタリアの大手スポーツ紙『La Gazzetta dello Sport』は、「満足感で溢れたパリを夢見るために、またも絶対的な強さを見せつけ、絶え間ない成長を遂げてきた道のりを終わらせた」と母国代表を激賞するリポートを掲載。その中で決勝ラウンドに入ってから、中国、ブラジルと立て続けに破ってきた日本をこう評価している。

「13戦無敗でネーションズ・リーグでの完全優勝を狙ったブラジルを危機的状況に追い込んだ戦いぶりを見れば、日本人が不快な相手であることは、アッズーリ(イタリア代表の愛称)もよく知っていた。彼女たちはフィジカルが弱く、ディフェンスとスピードに頼らざるを得ないという常識を超え、コガやイシカワのような優れた才能を持つ選手たちとともに、大きく成長してきた」

 また、ヨーロッパ全土にネットワークを誇るスポーツ専門局『Eurosport』のイタリア版は「何の疑いようもなく、ここ数年の女子イタリア・バレー界において最高の試合となった」と回想。母国の精鋭たちを褒めちぎった上で「イタリアは、長い間、手本として追い求めてきた日本を組織的に消し去った。ヴェラスコ監督は日本の基礎である守備的な動きとスペースを使うスキルをどんどん吸収するよう求めていた」と紹介。今回の勝利の要因が、日本から得た学びにあったとした。

 心身ともに充実したイタリアの強打の前に沈んだ日本。それでもパリ五輪の試金石に位置付けられた今大会で強豪を相次いで破った経験は自信になったはず。この銀メダルをどう活かすのかは、大いに興味深いところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]