将棋の第9期叡王戦五番勝負第5局が6月20日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で行われ、挑戦者の伊藤匠七段(21)が藤井聡太叡王(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、21)に勝利し、自身初タイトルを獲得した。伊藤・新叡王は、終局後に行われた独占インタビューで「こういう結果になったのは、出来すぎです」と喜びを語った。

【映像】宮田八段へ届け!?伊藤新叡王の喜びのコメント

 新たな王者が誕生した。全タイトルを独占していた藤井竜王・名人の牙城を誰が崩すのかという大きな注目の中にあった将棋界だが、第9期叡王戦五番勝負に挑戦した伊藤七段が“絶対王者”を3勝2敗で撃破。終局後、ABEMAの独占インタビューに応じた伊藤・新叡王は、「竜王戦、棋王戦とストレート負けが続いて、この叡王挑戦が決まったのも、棋王戦が終わった直後だったと思うんですけど、やっぱりその時はなかなかタイトル獲得というところまであまり意識がいかなかったというのが正直なところです。こういう結果になったのは、出来すぎかなと思っています」とその喜びを語った。

 タイトル戦で3度目の対戦を終え、藤井竜王・名人の印象を「終盤戦の読みのスピードというのも印象が強いですけど、これまで対局してみて中盤戦の難しい局面での大局観や指し手の精度が高いと改めて感じました」と語った伊藤七段。直前に行われた記者会見では、「藤井さんを目標にやってきたところが大きいので、本当に藤井さんにはここまで自分を引き上げて頂いた。藤井さんを追いかけてここまでこれたと思っています」と感謝の言葉を口にする場面もあった。

 師匠の宮田利男八段(71)への思いを問われると、「師匠にはずっと影ながら見守ってもらっていたと思うので、本当に一つに報告ができて良かったと思っています」と笑顔に。この後報告をするのか問われると、「そうですね、まあ、検討しようと思います(笑)。はい」と照れ笑いを浮かべていた。

 今後はタイトルホルダーとしてその一挙手一投足に大きな注目を集めることになるが、「恥ずかしくないような将棋を、より今まで以上一局一局大切にしていきたいと思っています」とキリリとした表情に。さらに、ABEMAの視聴者へ向けて、「現行の制度であれば来期の『ABEMAトーナメント』では自分もリーダーになれるんじゃないかと思っているので、そちらも楽しみにしております。今日はありがとうございました!」とリップサービスとともに応援への感謝を伝えていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)