適度な運動は睡眠の質を高めたり、心臓病のリスクを減少させたりと、さまざまなメリットが確認されています。これまでの調査で、ダンベル体操やスクワット、腕立て伏せなどの筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動を行うことで、脳の健康維持によい効果が生じることが報告されています。

The Surprising Brain-Health Benefits of Weightlifting | Psychology Today

https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-modern-brain/202402/the-surprising-benefits-of-weightlifting-for-brain-health



レジスタンス運動のメリットはこれまでにも確認されており、東北大学の研究では、「筋力強化活動が脳血管障害やがん、糖尿病などの主要な非感染性疾患による死亡のリスクと逆の相関関係を示している」と報告されています。

さらに、レジスタンス運動が脳機能を改善することも明らかになっています。これまでの研究では、2型糖尿病患者がうつ病を発症する確率は、健康な人と比べて77%も高いことが明らかとなっていたり、空腹時の血糖値が高いとアルツハイマー病のリスクが高くなったりすることも判明しています。

一方で、レジスタンス運動を含むウエイトトレーニングを行うことで、「血糖値が運動後24時間、インスリン値が運動後18時間減少する」「2型糖尿病発症リスクのある人の3カ月血糖値測定値を下げるのに役立つ」「妊娠中の女性の血糖値とインスリン要求量を改善できる」「高齢者のインスリンに対する感受性を改善できる」などの効果が示されています。



加えて、レジスタンス運動を行うことで、骨格筋が分泌する「マイオカイン」が脳に入り込み、有益な効果をもたらす可能性が指摘されています。マイオカインには、神経栄養因子(BDNF)と呼ばれる因子が含まれており、このBDNFは、神経可塑性のプロセスと強く結び付き、脳細胞間の接続の強化や、新しい細胞の生成に役立つとのこと。

また、レジスタンス運動は免疫バランスの改善と炎症の軽減に関連していることも報告されています。実際にメルボルン大学のカミラ・タトル氏らの研究チームは、筋肉量が多い人や、握力や膝の曲げ伸ばしの能力が高い人は、炎症のレベルが低い傾向にあることを発表しています。



海外メディアのPsychology Todayは、効率的なレジスタンス運動のやり方について紹介しています。以下はその概要です。

・最初は軽く、徐々に負荷を強める

・レジスタンス運動の経験が浅い場合は、トレーナーに相談して適切な方法を学ぶ

・ジムやオンラインセッションに通い、他人と共にトレーニングを行う

・エクササイズバンドを適切に使う

・自分の体の声に耳を傾けて、けがを予防する

・レッグプレスやスクワットなどを行い、下半身のトレーニングも欠かさない

・筋肉の成長のカギとなる十分なタンパク質を摂取する